Place 38 太陽の届かない場所 �� ページ47
自らの意志を持ち動く高位の妖の類は、己の大切なものと引き換えに彼等と契約する事が出来る…。
契約とは服従―――より力を持つ妖と契約すれば、その強い力を持って、人ではできないようなどんな願いでも、叶えられるだろう。だが、生身の人間にとってそれは、かなりリスクが高い交渉のはずだ。
契約の代償にと妖達が要求するのは、契約した人間の血肉や生命力そのものである事も多いからだ。
「ランは―――何と引き換えに、それを願ったんだ？」
血肉か…命か―――それとも。
契約により願いが叶えられてしまえば、代償としてランはそれを失う事となる。そして、一度結ばれた契約は、決して違えることが出来ない。
「―――脳だ」
「脳？」
理玖は問い返した。
理玖を手に入れたい。その代償にと妖が要求したのは、ランの頭だという…喰らう為ではない。
ランの知識や記憶、思考を求めたのだ。
「願いが叶った後も、僕の身体が消えるわけじゃない…理玖の傍にずっといられるなら」
「―――……」
理玖は、ランの右手首を握ったまま、言葉を失った。
―――いつからだろうか。
メレッドの動きが変わったのは。
思い返せば、あの課外学習から今日…まるで知恵を持ったかのように統率された動きを取るようになっていった。祓い屋でもあるランの記憶と思考を奪い、“知恵”を付けたメレッドが、周りのメレッド達に指示を与えていたのだ。
此度、祓い屋の会議に出席する事となったランの身体と知識を使い、知らず知らずの間に敵(祓い屋)側の内部事情までも手にしようとしていたのか―――
背中に、冷や汗が伝う。
知らない間に“影”はこんなにも近くにいた…いや、きっともっと昔から“影”は自分達のずっと傍に居たのだろう―――。何食わぬ顔で笑いかけ、貪り、溶け込んでいく…。
まさしく光が作り出す、影のように―――
「ランは、その“影”を支配しているわけではないんだな……？」
理玖を傷つけるつもりは無かった―――と、ランは言った。
それは、彼女の意志通りに影を操れるわけではないと言う事。
そう言えば課外活動の時も、傷つけるなとか、がたがたと身を震わせ怯える仕草が見られた。
「僕の願いを―――叶えてくれる。だけど、支配は出来ていない…僕も、影に支配されていない」
「“契約”…というよりは、“共存”に近いのか―――」
Place 38 太陽の届かない場所 ��→←Place 38 太陽の届かない場所 ��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» 了解です！ (2021年2月14日 22時) (
レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 桜雲さん» リクエスト有難うございます！そして毎度、鈴花さんを我が子のように登場させて頂いており、感謝しております！！是非書かせて頂きます！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 名無しのチートさん» ご指摘有難うございます！右手記載のあった2か所を修正させて頂きました。また気になる点がありましたら、ご指摘下さい！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
桜雲(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！リクエストなのですが、もしよろしければ鈴花vs理玖さんが見たいです！お体に気を付けて頑張ってください (2021年2月14日 22時) (レス) id: a765f4403f (このIDを非表示/違反報告)
名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» すみません...すっごい言い忘れてました...サンズ左利きです......(すごい今更感) (2021年2月14日 21時) (レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
