Place 37 明けない夜 �� ページ44
―――鈴なら…こんな時、理玖にどうやって声を掛けるのだろう。
伸ばせば握れる距離にある理玖の手を、きっとさりげなく繋ぐことだって出来るのだろう。いや、鈴花からそんな事をしなくても、きっと理玖が鈴花に笑いかけているはずだ。
「どうしたら、僕にも笑いかけてくれる…？」
「は？」
慌てて口を押えるラン。思わず、声に出してしまった事を後悔する。
理玖は首をかしげているが、きっとランの言葉は聞こえている。
彼は、人らしからぬ程の聴力を持っているのだから。
(理玖は、僕が理玖を好きな事を知っている。だから、きっと、余計な事は話さないし、余計な優しさも見せない。僕に期待を持たせない為…それが、理玖の優しさだと、頭では理解できている)
理玖の青紫の瞳が一瞬大きく見開かれ、次の瞬間には悲し気な笑みに変わった。
頭では理解できていても、感情がYESを言わない…。
無意識に身体が動き、ランの両手は理玖の腕を掴んでいたのだ。
「―――…何？早く本部に向うよ。」
(何…なんて、ズルいよ。知っているくせに―――僕の気持ちを)
掴んだ腕を引き寄せ、月明かりではっきり見える理玖の顔に、唇を寄せた―――。
「ラン―――」
肩を引き離され、ハッと我に返る。理玖の声が、冷たくランを刺した。
「俺は、鈴花以外に優しくする気はないよ―――」
「あっ―――…」
「次は―――別の人についてもらおう。色んな人の“祓い”を観た方が勉強になるから」
ランに背を向け、理玖は先を行ってしまう―――。
―――待って、行かないで。
焦りが…感情が―――蠢く。
こんな事、言うつもりじゃなかった…。
祓い屋養成学校の屋上で振られたあの日から、諦めようって…友達で居ようって―――思っていたのに。
自分が自分じゃないみたいに、身体が、声が、勝手に動く。
「理玖、僕は理玖が好きだ！！」
理玖の背中に、叫ぶラン。少し苛立った様子で、理玖が振り向いた。
「だから―――俺は、鈴花が……。？！」
月明かりで伸びた影が、ゆらゆらと蠢く―――。
まるで生き物のように、ランの足元から伸びたそれは、理玖に向って“手”のような何かを伸ばした。
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名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» 了解です！ (2021年2月14日 22時) (
レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 桜雲さん» リクエスト有難うございます！そして毎度、鈴花さんを我が子のように登場させて頂いており、感謝しております！！是非書かせて頂きます！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 名無しのチートさん» ご指摘有難うございます！右手記載のあった2か所を修正させて頂きました。また気になる点がありましたら、ご指摘下さい！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
桜雲(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！リクエストなのですが、もしよろしければ鈴花vs理玖さんが見たいです！お体に気を付けて頑張ってください (2021年2月14日 22時) (レス) id: a765f4403f (このIDを非表示/違反報告)
名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» すみません...すっごい言い忘れてました...サンズ左利きです......(すごい今更感) (2021年2月14日 21時) (レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
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