Place γ 心の壁（リクエスト） �� ページ13
何故、このテクノロジーの時代に、アナログの紙とペンを持って構えているのかはさて置き、先程から鈴花がサンズに詰め寄っていた。
「サンズさんの、好きな食べ物は何ですか？お腹は、減るんですか？」
可笑しなことを聞きながら、ペンと紙を持つ手はがたがたと震えている。
メモを取ったその筆筋はミミズのように波打っている。先程から、行動と言葉が一致しない。
「なんで、オイラにそんな事を訊くんだ？」
表情筋がないサンズの顔からも、呆れているのが分かる程、その声は戸惑いに満ちていた。
「学校の―――課題で、“食”についてを調べようと思って」
「はぁ……。」
目の前で、小動物のように震える鈴花に、サンズは諦めたように小さなため息を浮かべた。
―――シェアハウスでは、皆と仲良くするように……
天照の言葉通り、いつまでも彼女を怖がらせているわけには行かない。ここは年の功で上手く場を和ませなければ。
となると、とりあえずは質問の返答を……
「好きな食べ物はケチャップだぜ？」
「ケチャップ？」
今度は鈴花が首を傾げた。
(え？答え方を、間違えたか？)
サンズは、元人間の人外だ―――。他の人外よりも、人間に関しては理解しているつもりでいた。人間には、言葉と行動が伴わない事が存在する。所謂“嘘”を、簡単に作り出せるのだ。恐怖を覚えながらも質問を投げかける彼女が、言葉と行動の伴わない動きを見せるのは“課題”という事情の為であろう。だが、どう頭を捻っても、回してみても、その質問の意図が理解できなかった。
だから、どう返事を返せばいいのかが、分からない。
(なら、もう一つの質問の答えを……)
「腹は、減らない―――。いや、違うな…何かが満たされない状態の事を、腹が減るというのか？」
頭を左右に振り、考えるサンズ。
その姿が、昔子供の頃に遊んだ玩具の姿そっくりで…
「可愛い……」
鈴花は思わず、声に出してしまう。
「可愛い？オイラが、か？」
「あっ、いえ―――その…失礼なこと言って、ごめんなさい」
鈴花は両手を振って、自らの言葉を訂正した。
勿論、サンズには彼女が失礼だとか、怒っての意図はない。鈴花の…人間のいう“可愛い”のツボがわからなかっただけだ。
いつの間にか鈴花の震えは止まり、ついでにメモを取ろうと握った紙とペンの存在も忘れている様だ。
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名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» 了解です！ (2021年2月14日 22時) (
レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 桜雲さん» リクエスト有難うございます！そして毎度、鈴花さんを我が子のように登場させて頂いており、感謝しております！！是非書かせて頂きます！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 名無しのチートさん» ご指摘有難うございます！右手記載のあった2か所を修正させて頂きました。また気になる点がありましたら、ご指摘下さい！ (2021年2月14日 22時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
桜雲(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいています！リクエストなのですが、もしよろしければ鈴花vs理玖さんが見たいです！お体に気を付けて頑張ってください (2021年2月14日 22時) (レス) id: a765f4403f (このIDを非表示/違反報告)
名無しのチート(プロフ) - kohakuさん» すみません...すっごい言い忘れてました...サンズ左利きです......(すごい今更感) (2021年2月14日 21時) (レス) id: 221a08961c (このIDを非表示/違反報告)
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