Page．6 役割？ ページ14
右手に握る長刀を、丁度腕の延長のように滑らかに振るう―――
鉄の塊が空を斬る際の僅かな音さへも吸収してしまうような黒い雷が、遅れて、目の前の空間を斬り裂いた。
出力した力を、自らの意思で無へと化す。
黒い雷は暫く先まで空を斬り裂くと、大気に吸い込まれるように消えていった。
技の余韻を壊すかのように、その様子を大岩の上に胡坐をかいて観ていた大男はため息とともに言葉を吐き出した。
「いや、綺麗なんだけどさ―――剣舞じゃねーんだから」
―――黒の軍勢はじっとそこには居てくれない。お前を消そうと襲ってくるぜ？
男は大岩の上から飛び降りると、自らの手に剣を出現させる。
その剣先に、風が纏ったかと思う次の瞬間には、カマイタチの様な風の刃が周囲の木々を切り倒していた。
「やられる前に、やるんだよ―――」
「―――……」
その出来栄えを、満足そうに見つめるこの大男こそ 悠久学園の教師であり主の刀の師匠でもある嵐山 疾風だ。
目にもとまらぬ速さで、数メートル先の木々を、いとも簡単に切り倒す……
確かにこの瞬技を持ってすれば、黒の軍勢も言葉を発する前に切り倒せるだろう。
「お見事です―――師匠」
放課後、彼から刀技の稽古を受けていた主は、長刀を左手に握っていた鞘に納めた。
弟子の喝采を受け嵐山は、この位夕飯前の腹ごしらえだと鼻の下を擦り厚い胸板を逸らせる。
―――確かに、剣技は見事だ。……が
「師匠。学園の木々を切り倒すと、また理事長からお𠮟りを受けますよ―――？」
技は、寸前で停止させないと。
見事にぱっくりと斬られた木に視線を向け、主は頭を抱える。
毎度ながら、彼は理事長からの呼び出しを避け、面倒な説明役は主が引き受ける事となる。
「まぁ、そういう事だから―――今日はここまで……」
理事長の名を出した途端、先程の勢いは酸素を失った炎のように消え、嵐山は慌てて踵を翻した。
が―――振り向いた、低い視線の先で揺れる白銀色の髪を見ると、後ずさりで戻ってきた。
「か…篝？！」
「見てましたよ―――せーんせ？」
―――また悠都ちゃんに事後処理を押し付けて、逃げようとしていませんでした？
ちらりと主に視線を送る嵐山。
「さては―――お前、篝を呼びやがったな……」
その容姿に不似合いな小声で主に確認するが、主は不思議そうに小首を傾げて答える。
「いえ、そのような事は……。篝さんに、会いたいとは思っていましたが」
主に、全く悪気はない。
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kohaku(プロフ) - 彩華さん» 有難うございます！引き続きの応援頂けるよう、頑張ります！ (2021年12月27日 7時) (
レス) @page30 id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - 遅ればせながら、悠都さんお誕生日おめでとうございます！これからのご活躍をお祈りいたします！もちろんケルべロスさんも！ (2021年12月26日 14時) (レス) @page30 id: ea837d69e9 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» 有難うございます！ (2021年12月21日 19時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 誕生日おめでとうございます〜〜🎉 (2021年12月21日 19時) (レス) @page30 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 鈴桜さん» 有難うございます！そう言って頂けて嬉しいです！ (2021年11月24日 17時) (レス) @page28 id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
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