Place 15 覚悟 �� ページ49
幼い頃から祓い屋の英才教育を受けていた理玖は、父に着いて祓い屋達が集まる会合に出席する事も多かった。
その会合の場で、次代を担う理玖達にはもっと強くなってもらわなければいけないと発破が掛かった時、理玖が神流崎の当主…鈴花の父の前に正座した。
『私を強くしたいのなら、鈴花を傍に置いてください。彼女が傍にいてくれるなら、彼女と、彼女の大切にする人を守る為、私は必ず強くなる。鈴花が笑顔で居られる世界を、守って見せる。』
真剣な理玖の表情と、子供の戯言だと思いながらも次代の祓い屋を担う理玖のモチベーションが上がるなら、と、神流崎の当主は幼馴染で仲の良かった二人を許嫁とする事をその場で認めたという。
「檀さん…理玖君は今―――」
「多分、父上に直談判に行ったんじゃないかしら。理玖にとって鈴ちゃんとの許嫁関係は、一番譲れない物のはずだから」
柔らかい微笑みを浮かべる白檀は、制服の黒いスカートを握り締める鈴花を優しく見守った。
これ以上は、彼女の判断するところ。外野の自分があれこれという筋合いはない…そう思っていたのだが。
「ああもう、じれったい！！」
話に割って入ってきたのはアリサだった。
驚く白檀の前をすり抜け鈴花の腕を握ると、有無を言わさず引っ張って出ていく。
「アリサちゃん？！」
「理玖の所まで連れて行ってやる！好きなら好き、嫌なら嫌だとはっきり言ってこい！」
「えっ…でも―――えええっ？！！」
アリサは鈴花の腕を持ったまま、大羽を広げて飛んで行ってしまった。
呆気となる白檀の隣に、くすくすと笑いながらみたらし団子を口にする茉莉。
「鈴花、連れて行かれてしまったな」
「―――……大丈夫かしら」
鈴花とアリサの背を心配そうに見送る白檀は小さなため息を浮かべる。
茉莉はみたらし団子の串を咥えたまま、にんまりと微笑を浮かべた。
「鈴花は、あのくらい強引に動かすくらいが丁度いい！後は理玖が、何とかするだろう―――」
―――正念場よ、理玖。
白檀は心の中で、大切な弟を応援した。
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枯山水の庭に、鹿威しがカランと音を立てる。
静まり返った広い和室に、苦手な正座をしたまま表情を強張らせる理玖。
暫くすると、一人の男が部屋に入り、理玖の前に腰を落とした。着物姿に肩から羽織りをかけた男は理玖に視線を移す。
「話とは、なんだ―――」
「何だとは、ご挨拶ですね。父上こそ、“私”に話さなければいけない事があるのではないですか」
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