Place 15 覚悟 �� ページ43
祓い屋養成学校
授業が終わる合図が、教室に響く。
過ごす時間は同じだというのに学生達の表情は千差万別であり、落胆している者もいれば、終わったと言わんばかりに背伸びをする学生もいる。
凝り固まった肩関節を解し背伸びをする理玖に、前の席に座る和希が蒼い顔で振り向いた。
「何でお前、そんな涼しい顔してられんだよ―――祓いの仕事やなんやでしょっちゅう呼び出されて、学校サボってたくせにさ」
「え？だって昼から休みだぜ！ラッキー！！何する？！バスケいく？！駅前のカフェ寄って帰る？！」
いそいそと机の上の筆箱を片付ける理玖とは対照的に、和希は大きなため息を落とした。その様子を、離れた席で見ていたカイルが、荷物をまとめ終わってやってくる。
「随分と対照的だな？」
「―――お前は、どっち？」
じろりと見上げる和希に、にんまりと口元を綻ばせるカイル。
「俺は理玖と同じかな！試験期間の半日休みは今日までなんだ、早く遊びに行こうぜ？」
そう。
実技と筆記を含め1週間続いた試験期間がようやく終わりを迎えた。
筆記の回答に全く自信のない和希は、この後訪れるであろう追試や課題提出に頭を悩ませていたのだ。当然、今から遊びに行こうなどという気分でもない。
一方、元々成績の良い理玖と、努力を惜しまない真面目なカイルは試験期間の昼からの半日をいかに楽しむかで頭がいっぱいのようだ。
クラスメイト達が帰ろうと教室を出ていく中、ずかずかと大股で教室に入ってくる女子生徒。
濃い紫のラインがはいった白いセーラーカラーをひらりとなびかせる彼女は、理玖の席まで迷いなく近寄ると片手を机に着いた。
「ちょっといいか？理玖―――」
思わず彼女の顔を見上げて首をかしげる理玖。
先日の野外活動で同じグループだった以外に、特別彼女との関わりがなかった為、呼び出される理由など皆目見当もつかなかった。
「―――…えっと、ランちゃん？(だったよな？)」
流石に鈴花の友人の名前を間違えるのは申し訳ない。
が、理玖にとって彼女はその程度の記憶だった。
名を呼ばれ、ランは気まずそうに視線を逸らせた。人が大勢残る教室では、離しにくい事だろうか。
ランの表情を察した理玖は小さなため息の後、カイルと和希に視線を送る。
「先に帰ってて？また明日」
表情の硬いランに連れられて教室を出る理玖を見送るカイルと和希は顔を見合わせる。
教室に残っていた生徒達からは、ちらほらとざわめきも起こっていた。
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