Place 12 黒のマリオネット �� ページ25
『無茶を言うな、祓いの刀を持った理玖とまともに闘って、俺が勝てるわけがないだろう？！』
『ちっ。案外使えないな―――』
『酷いな。ランちゃんこそ、森でカイルの事を見失ったくせにさ…』
『それに関しては、先生が追っているから直ぐ捕まるだろう』
《森で見失った？カイル？先生？》
ランと和希の会話に耳を澄ませる理玖。
見失ったって事は、カイルは無事なのだろうか。
理玖があれこれと思考を働かせていると、かまってもらえていないと感じた茉莉が理玖の思考を割る。
そして再び、鈴花の話題を持ちかけた。
《これ、話を逸らせるんじゃない！理玖…それで、鈴花とはどうなった？！》
《茉莉さん酷い！俺今、狸寝入りしているんだから。動揺させるような事は言わないでよ！体が動いてバレたらどうするんだよ！》
《その程度で動揺する方が悪い！その様子だと、大した進展はなかったんだな？つまらん……。それに身体が動くなら反撃すればいいじゃないか？》
《反撃できるほど体は動かない―――。もう少し時間を稼ぎたい》
指先を随意的に動かせない理玖の腰から祓いの刀を振り落とす和希。
『〜〜っ！！！痛ってぇ…この身体では、祓いの武器は毒だな』
『だからこそ、武器を持ったカイルと理玖には“影喰い”が通用しなかったのだろう？僕達みたいに』
《影喰い？》
《ああ、そういえば―――どこぞの民間説話に影喰い…“影法師”なるモノを聞いた事があるな。まぁ、多くは迷信と言われているが、霊魂を肉体から分離させて操る力を持つ人外がいたとかいないとか―――》
《霊魂？だから気配を感じないのか……？》
そして相手が人外だからこそ、祓いの武器が邪魔をし、黒く蠢く影に囚われられなかったのか。
納得する理玖。
《人外相手なら、理玖は本業だものな―――》
《簡単に言うけどさ、俺、今自分で指一本動かせないんだよ？》
軽く言い放つ茉莉だが、理玖はまともに闘える状況ではない。
ランと和希がここに居ると言う事は、残された鈴花の方に衣麻奈がいる可能性も高い。
鈴花は無事なのだろうか…一刻も早く彼女の元に戻らなければ。
《あんなに鈴花を守ると言っておきながら、不安にさせてばかりだ―――。》
《鈴花はお前が思うほどか弱い女の子じゃないよ？それに、影に対抗する光を持っている。普段偉そうに言っているんだ……たまには鈴花に守られてみるのもいいんじゃないか？》
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