Place 11 浄化の光 �� ページ23
『クッ！』
先程の衣麻奈の言葉が鈴花の脳裏によみがえる。
やはり、“影を喰う”という今回の奇怪の主は祓いの武器を苦手としているようだ。
だからこそ、祓いの武器を持たないランや衣麻奈、和希の影がまるで生き物のように蠢いて見えた。この状態こそ、彼等の言う“影を喰われた”状態なのだろうか。
だとすれば、道化師の仮面を掛けられた理玖や、彼が視た壁の人型とは一体―――。
……壁の、人型―――影？
(――――まさか)
鈴花はペンダントを持つ右手をそっと離す。
すると、再びペンダントは強い光を放って輝き、部屋を明るく染め上げた。
まるで電気が灯ったかのようなその強い光に、目を抑えてうずくまる和希とラン。
鈴花の想像通り、蠢く黒い影は、天照美神からもらったペンダントの“浄化の光”に弱いらしい。そして、この光は蠢く影諸共消し去ってしまようだ。
『グアアアアアアア！！！』『ギャアアアアアアア！！』
ランと和希は、人の物とは思えぬ“音”で叫ぶと頭を抱えて悶え苦しむ。
だがその動きは直ぐに止まり、衣麻奈の時同様に糸の切れたマリオネットのように床に倒れ込んだ。
ペンダントの放つ光が見せたのは、黒い影が祓われた二人の姿だけではない。
白い壁一面に、道化師の仮面を掛けられた人型が、十字の姿に貼りつけられていたのだ。
その異様な光景に、恐怖で声を出すことさへも出来なくなった鈴花は、その光景に腰を落とした。
「―――――………ッ」
きっとこれが、理玖が視たという“仮面を被った人型”。
鈴花を恐怖に陥れたのは、その夥しい数の人型の存在ではない。ここに、“存在する”はずのものが“ない”事だった。
理玖の右手を掴み、鈴花が声をくもらせた。
「どう…したらいいの―――？理玖の“気配”がない……」
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