太陽の住み処【派生作品】 2 (ページ21)

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Place　11　浄化の光　　⑥ ページ21

気が付けば、スパークと同時に動かなくなっていた身体の硬直は解け、鈴花はゆっくりと立ち上がる。首からぶら下げたそれを両手のひらに取り出すと、衣麻奈は眩しそうに視線を逸らせて身を引いた。
鈴花の頬まで迫っていた黒くうごめく影はペンダントが放つ光によって跡形もなく消え去っていた。

『どうして、鈴ちゃんがそんなモノ(浄化の光)を持っているの？！』
「―――浄化の光……？」
『だから―――祓いの武器を持たない、オマエの―――影…喰えなかったの。私に…近―――づけるな…』

衣麻奈の声がくすみ、ボイスチェンジャーでも通したような機械音声となる。
この状況で近づけるなと言われれば、そうするしかないだろう―――。

『ぐ…ぎぃああああああ！！！！』

鈴花が天照からもらったペンダントの光を衣麻奈にかざすと、人間の声帯を通過したとは思えないような“音”が部屋に響いた。

とたん、衣麻奈の体から黒い靄が立ち昇り、彼女の体は糸の切れたマリオネット(操り人形)のように崩れ落ちる。

「衣麻奈ちゃん？！」

慌てて衣麻奈に駆け寄り、彼女の体を起こす鈴花。
胸郭が小さく揺れる、どうやら気を失っているようだ。ソファーにたたんでおいた毛布を衣麻奈に掛けると鈴花は決意したように立ち上がった。

理玖が、さらわれた―――。

体が動かない間に聞こえた、和希と恐らくランの会話から推測するに、彼等は理玖の影を喰おうとしている。

助けなきゃ…

助けなきゃ―――

私が、理玖や皆を助けなきゃ！

鈴花は暖炉の部屋を飛び出した。

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部屋を出た鈴花は足を止める。

(でも―――どこに行けばいいのだろう)

屋敷全体に靄が掛かっている様で、理玖の気配はおろか、ランや和希の気配も辿ることができない。早く理玖を見つけなければと焦る鈴花には、この広い屋敷を虱潰しに探している暇はない。

「どこ…どこにいるの？理玖……」

まだ昼間だというのに、電気のついていない屋敷は薄暗い。恐怖が鈴花の足を震わせ、思考を混乱させる。どこにいる？何かヒントがないだろうか？
ここに来てからのメンバーの言葉を思い返す鈴花。