太陽の住み処【派生作品】 2 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:3,879 hit

Place　11　浄化の光　　③ ページ18

屋敷に戻った理玖達は、暖炉の部屋で火を起こし、倉庫で見つけた瓶に海水を入れてきたものを鍋で沸騰させて“塩”を作る事にした。こんな方法で一度に出来る塩など限られているが、こんな状況だからこそ“Na”が必要となる。
また、火を起こす事で屋敷の煙突から煙が上がれば、理玖達が屋敷に戻った事を、カイル達が気付いてくれるかもしれない。

「ヨモギをお浸しにしてみた―――」

キッチンから幾つかの調理道具を持ってあがってきた鈴花が、先程山で見つけた山菜をゆでてくれた。海水から作った塩で何とか味を付けたものの、苦みが残ってお世辞にも美味しいとは言えない。調理器具はそれなりにあるが、調味料は塩のみ。食べられるようにしてくれただけ有難い方だった。

「遅いな…カイル達。てっきり先に屋敷に戻っていると思ったんだけど―――」
「怖がりの衣麻奈ちゃんを連れて、山の奥に入るとも思えないし……」

そもそも、この状況で意図的に別行動をとったとは思えない。

おそらく、何かがあったんだ―――。

だが、祓いの武器を持つカイルが一緒なら、そうそう“何か”があるとも思えないが。

(あの、影のせいか―――？)

この課外活動のそもそもの目的は何だ…他の島に降ろされた他グループはどうなっている？考えれば考える程、理玖の思考は混乱する。先程から何度も同じ思考のループだ。
最悪を想像しながらも、そうでなければいいという甘い考えた根底にはあった。

(分からない事だらけだ―――どうしたら、鈴花を守れる？)

水のろ過、塩の作成、裏庭での果物調達…そんな事をしている間に、晩秋の短い日の光は直ぐに顔を隠し、2回目の夜がやってきた。
屋敷の外壁に用意されていた薪を一晩分用意し、暖炉の部屋に籠る準備を整える。
火の番は和希と理玖、鈴花が交代で行い、カイルやラン、衣麻奈達の帰りを待ったが、カーテンの隙間から薄日が差す時刻になっても、3人は戻ってこなかった。

・
・
・