Place 11 浄化の光 �� ページ17
「―――っ？！まさか―――和希君も？」
「……アレが何を意味するかわは分からない。だが―――この分断が何かに仕組まれた事なら、和希から目を離すわけにはいかない」
理玖と鈴花は和希と共に倉庫の中を確認した。
予想通り、漁に使っていたと思われる網や釣り竿が数点見られたが、網には穴が開き、釣り竿の糸は脆く直ぐに切れてしまう。とりあえず、ガラス瓶や木箱、何かしら使えるものをまとめて屋敷に持ち替える事にした。
「あれだけ不思議な位環境が整えられていたんだ…ここにきて食料調達方法がないなんて事はないはずだよな。何か手が―――」
顎を抱えて考え込む和希。
彼の指摘するように、ご丁寧に屋敷のドアは開いており、水道も出て、薪まで用意されていたというのに、倉庫に使える竿や網が一本もない…これではまるで、1週間も食事をする事を想定していないような、恐ろしい想像を掻き立ててしまう。
「理玖…流石に海に潜るなんて言わないよな？」
屋敷の中での彼の言葉を思い出したのか、和希が苦笑いを浮かべながら後ろを向く。
低体温が危険な事は、勿論理玖にも分かっている。食料も十分でない中、下手な体力を消費するのも得策ではないだろう。
「この時期海に潜るよりは、山で山菜や果物を探す方が現実的かな―――リンゴの木があった事を考えると、柿やアケビやムカゴなんかは見つけられるかもしれない。あとは、栗とかヨモギとか」
「それを聞いて安心したぜ…」
「カイル達が屋敷に戻っているかもしれない。帰りに山を散策しながら一旦屋敷に帰ろう」
3人は倉庫で見つけた幾つかの荷物を手に、屋敷へと戻る事にした。
石畳の道を少しそれると、そこは手付かずのまま放置された森のようだ。
手入れがされていないようで、草木は荒れており、見つかった柿やムカゴは、どれも実が小さかった。それでも、ないよりはマシと倉庫で見つけた木箱に入れ、糸が切れた釣り竿を杖代わりに散策した。
屋敷に戻る頃には既に昼を回っていた。
時間が分かるのは和希の時計型懐中電灯のおかげだが、通信機器もなければ全員が時計を持っているわけでない。一度はぐれてしまえば呼び戻す事も難しく、時間を区切っての別行動も出来ない。
「不便だな―――」
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