太陽の住み処【派生作品】 2 (ページ2)

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Place　9　悪戯　　④ ページ2

窓の外を見ていた理玖の携帯端末が、小刻みに震える。

(メール？誰から―――)

音楽を聴きながらメールの内容を確認すると、理玖は窓の外を向いたまま片手で顔を覆った。

「？！！」

にやけている顔を、鈴花にだけは見せられない。

『間接キスの味は、甘いだろう？茉莉』

(……そう言う事だったのか―――)

窓に反射して映る隣席の鈴花を確認すると、彼女は楽しそうに携帯端末を操作している。
小さなため息を落とし、理玖は茉莉へのメールに返信を送った。

『悪くない。ありがと茉莉さん』

抹茶は嫌いだけど、こういう悪戯なら悪くない―――。
すっかり緊張のほぐれた二人を乗せたバスは野外活動場所の無人島へと向かった。

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道中の船内では、予告通り各グループにくじ引きが渡された。
それにより、これから1週間をどこの無人島で過ごすかが決まるのだ。理玖達のグループは、リーダーであり理玖のクラスメイトでもある和希がくじを引いた。

降ろされた先は、きちんと船着き場が整備された港。
近代的な建物があり、石畳の奥に森が広がっている。取り合えずは雨風をしのげる建物の中で過ごすことができそうだと、一同は胸を撫で降ろした。

理玖達6人を島に降ろすと、連絡船は容赦なく深い霧の中に消えていく。
他のグループもそれぞれの島に降ろされていたが、桟橋に無理矢理船を横づけされて降ろされたグループもいれば、停泊できるスペースがない為小舟に乗せられ、自分達で島まで漕いで渡ったグループもいた。それらを思うと、上陸した直ぐから建物や港があるこの島は、かなり好条件に思えてくる。

周囲の雰囲気はかなり近代的な様子だが、無人島と呼ばれるだけあり人の気配は感じなかった。
意図的に気配を消せる人外が潜んでいる事も考え、慎重に辺りを警戒する6人。

「霧が濃いな―――とりあえず、薄明かりがあるうちに一夜を乗り切る場所を決めよう」

グループのリーダーでもある和希が声を掛けた。明るく気配りの出来る彼はクラスの中でもムードメーカー的な存在。理玖とはずっと同じクラスだった事もあり、クラスの中では最も仲の良い親友でもあった。

和希の呼びかけにこくりと頷くと、先陣を切って歩き出すのはもう一人のクラスメイト、カイルだ。彼はたった一つの持ち込める物に、自身の祓い道具でもあるレイピアを持ち込んだのだ。
彼はDクラスのメレッドを祓える実力を持ち、実家から祓い屋学校に通学する事を許されていた。