Place 5 デュオニソスの世界 �� ページ27
「ヴァイオリンはまた今度にするよ…仕事みたいだから、行ってきます」
「待て、理玖！うちも手伝うよ」
「―――ん？有難うアリサ……“私”は、助かるけれど」
彼の一人称が“私”になったと言う事は、既に仕事モードに切り替わっている。
今しがた、強い酒を一気飲みさせたばかりの状態で、一人で“祓い”に行かせるのは気が引けた。
「場所は、どこだ？」
「―――北の森に人を喰らう大蛇が出たそうだ」
「北の森か…なら空から向かえば幾分か楽だろう？」
「ありがとう、助かるよ……」
いつもと変わらぬ笑顔がニコリとほほ笑む。
現時点では、特段と酔いが回った様子は見られないが……。
あの酒を一気飲みしたのだ、暫く注意が必要だ。
輪に足を掛けた理玖が持つロープを腰に巻き付け、大羽を羽ばたかせるアリサ。理玖の携帯端末に届いた目的地に向かって一気に空を駆けぬけた。
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北の森と呼ばれる場所に着くと、理玖は早速長剣を腰に据えた。
出来る限り揺れぬようにと気を配ってはいたが、それでも移動中ずっと空を飛んでいたというのに、着地した理玖の足取りにふらつく様子は見られない。
(なんだこいつ、意外に酒に強いのか？)
空を抜けていた時には気が付かなかったが、なかなかに深い森だ。背の高い木々が太陽の光を遮り、昼間というのに辺りは薄暗く、土は湿り気を帯びている。森に住まう人外達が、帯刀した人間の突然の来訪に警戒しているのが気配で分かる。
『祓い屋だ……』
『祓い屋が来た――――』
『我々を、祓う気か』
所々では殺意さへ向けられているが、気にする様子もなく奥へと進む理玖。
「目的の蛇は、分るのか？」
湿気を帯びた森は、音を反響させる。
理玖は耳が異常に良いとは聞いていたが、四方八方を人外の気配(音)に囲まれた状況ではストレスも強かろう。
「いや、こうも殺気が集中すると聴こえない―――」
「……だろうね」
「アリサ、もう一度空から視てくれない？」
振り向いた理玖は、微笑を浮かべた。
(―――何か、違う)
理玖がアリサの飛行能力を使い、空からの索敵を行う事は今までにもあった。
人間が地を歩いて見つけるよりも素早く相手の居場所や敵の全体像を掴めるため、メリットが大きい。
彼女が違和感を覚えたのは、作戦ではない…アリサに“ホークアイ”(空からの索敵)を依頼した理玖の表情だ。ニコリと微笑んではいるが、何かどこか、いつもと雰囲気が異なる。
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kohaku(プロフ) - 兎夢さん» こちらこそ、素敵なご縁を有難うございます！ (2020年11月1日 22時) (
レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
兎夢(プロフ) - 解釈通りです…！ありがとうございます…！ (2020年11月1日 21時) (レス) id: 37b8ca6f5d (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - サナティさん» こちらこそ、素敵なご縁を有難うございます！羽や固有能力の使い方や、言葉遣いに問題はなかったでしょうか？ご指摘やご希望があれば遠慮なく仰ってください！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - アリサがめっちゃ解釈通りです、ありがとうございます！これからも更新頑張ってください！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 249d9050a8 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 桜雲さん» こちらこそ、素敵なご縁をありがとうございます！ (2020年10月28日 21時) (レス) id: d6f223475b (このIDを非表示/違反報告)
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