【Avatar Code（アバターコード）】 (ページ8)

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Code No　01　⑥ ページ8

「ららら～ふんふん～♪」

鼻歌を口ずさみながら、夜道を自宅のあるアパートへと歩くA。
零時を過ぎ、道行く人影もほとんど見当たらなかった。夜はpoison Lineが不安定となりやすく、危険を回避するために出歩く人も少なかった。
ふと、道端の公園で人影が見える。薄暗い街頭下では、男女の見分けもつかない程綺麗で人形のような子だ。

「あら？みせーねんがこんな夜道を、あぶないわよ？」

独りブランコに寄りかかるように座るその子に、首をかしげるA。とたん、耳元でバームがアラートを鳴らす。

この辺りに、poison Lineが近づいているという警告だ。だが、Aは店を出て直ぐに、有理がアバターを発動させていた。外界に出てしまったとしても十分安全に家に帰る事ができる。あの子もバームの警告音に気付き、アバターを発動させるだろう。

「らぁららら～」

ドサリ……

重い音が、公園の方から聞こえる。

再び鼻歌を歌い歩き出したAの声が、ぴたりと止まった。
振り向くと、先程ブランコにもたれかかっていた未成年がブランコの下に崩れ落ちていた。

「ちょっと、君？！」

慌てて駆け寄り、倒れた体を抱き起こす。
絵本の中から抜け出たような綺麗な少年の耳には、バームが装着されていなかった。

「うそ？！バーム持ってなかったの？！なんで……」

バームが装着されていないと言う事は、当然先程のアラートも聞こえていなかったはず。
となれば、アバターを発動せずにこの外界の空気にさらされたという事か。

「アバターコード、拡張！」

Aは少年を両手で抱きかかえたまま、シュテルンバームで作られてアバターを拡張させる。急速に増殖したシュテルンバームはすっぽりと少年を覆った。

「ねぇ君！大丈夫？！しっかりして―――」

ゆさゆさとその体を揺するA。すると、少年はAの腕の中でゆっくりと目を開ける。

「よかった―――外気に中てられた時間が少なかったから、影響が少なく済んだわね。君、大丈夫？」
「――――おねーさん、誰？」
「通りがかりよ！君バーム付けてないの？外に出る時はつけるようにと義務づけられているでしょう？！」

「……ああ、また失敗したんだ」

小さくため息をつく少年に、首をかしげるA。

「失敗？」
「何でもない。それよりおねーさん…助けてくれてありがとう」
「どういたしまして！君、バームを装着していないって事は、シュテルンバーム(マテリアル)も持ってないの？」