【Avatar Code（アバターコード）】 (ページ26)

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Code No　04　② ページ26

海音は腹の底から湧き上がる好奇心に、脈をたぎらせる。

警官達はNO9が盗まれ、鉄の塊が動いたと言っていたが、NO9とはおそらく、特殊マテリアルの元祖…シュテルンバームのNO9“neun(ノイン)”の事だろう。丁度、我が国のInsideTrace Project支部が管理していると数年前のインターネットニュースが騒いでいた事を覚えていた。

赤い警告灯と警官達を避けるように、街の中を掻い潜って走る海人。
バームを起動させた警官達が何らかの命令(ソースコード)で動いていると思われる鉄の塊を見つけられないと言う事は、おそらくその鉄の塊はステルスモードを使用して動いている…ならば。

「システムコール…ステルスサーチプログラム、起動」

自ら組み立てたプログラムを展開させる海音。
高校生のプログラムが、どこまで通用するのか…試すチャンスだ。
己の力を過信し、“出来る”と思い込んでいた。

その考えは直ぐに、あまりにも浅はかだったと、思い知らされる―――。

警察の捜索を掻い潜り、彼らが他所へ走り去ったのを見届けて、移動しようとしたその時。
後頭部に、鋭い激痛が走る。

ぐるりと視界が廻り、一瞬手足が硬直した。
後からずきずきと襲う痛み。

何が起こったのかを把握できぬまま、胸座を掴まれ、軽々と持ち上げられてやっと、海音は目を見開き状況を把握した。
目の前に、人のような形をした冷たい眼が海音を見下していたのだ。

(―――なんだ、コイツ)

見た目は人と変わりない。
音を発しなければ、海音もきっと、人間と思っただろう。

『オマエ、ソノ”バーム”ニInsideTraceゲームヲ、インストールシテイルナ？』

放たれたのは、機械音声。

(コイツ…自動機械(オートマタ)か？！)

「古ノ産物ヲ、今モ持ッテイル奴ガイルトハナ。ヤハリ神ハ…我ガ願イヲ見捨テナカッタ。」
「………神、だと―――？」

映画の世界のような非日常感に、アドレナリンが全身を駆け巡る。
気を失っても可笑しくないような後頭部の激痛が、意外な程に思考を冷静にしてくれた。

「20年前､脳破壊プログラムデ消サレカケタ私ノ記憶ノ欠片ト、アノ娘ノ記憶ノカケラ(コピー)…ソシテココニ、InsideTraceニ繋ガレタ健康ナ身体。ククク―――全テガ揃ッタ！」

(何を…言っているんだ？こいつは―――)

機械音声の言葉の意味は、理解できない。
だが、全身が震え上がり、コイツは危険だ…逃げろと訴えている。だが、逃げようにも手が震えて力が入らず、足が竦んで動けない。