【Avatar Code（アバターコード）】 (ページ15)

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Code No　02　④ ページ15

(ああもう、私…昨日から全然ダメダメじゃない)

暗い空気を纏い、落ち込むAに苦笑いを見せる凪。

「いや、朝食はAさんの家の食材でご馳走になったわけだし、俺もバイトしてるからお金に困っているわけじゃないし―――」

フォローをいれようとする凪だが、そんなフォローすらも身に刺さる。なかなか顔を上げないAに、凪はテーブルに上体を乗り上げ、額に“ちゅっ”と小さなリップ音を残した。

「？！！」

思わず勢いよく顔を上げたAの目の前に、ニコニコと笑う凪の顔。

「可愛いAさんの前だから、少しは俺にもカッコつけさせて？」
「もう…知らないっ！」

フイと顔を背けると、スプーンを握りオムライスを口にいれるA。ケチャップライスの懐かしい味が口腔内に広がった。

「ん～美味しい！」

先程までの悩みが薙ぎ払われるように、幸せが口いっぱいに広がる。そんなAの表情に、一瞬少し驚いたように目を丸くした凪だが、直ぐに良かったと微笑み自らもサンドイッチをくわえた。

「えっ？凪と…Aさん？！」

食べる事に夢中になっていたAは、近づいてくる知り合いに気が付かなかった。
聴き慣れた声が、頭元から降ってくる。驚いたその表情に、Aの顔が青ざめた。

(積んだわ…これは完全にツミよ―――まさかここで、この子に会うなんて…)

スプーンを持ったまま突然固まるAの前で、片手を振る凪。

「Aさん？おーい？？」
「なんだ、お前ら知り合いだったの？」

声を掛けたのは、Aの馴染みの居酒屋でバイトしている大学生の安倉千景だ。
冷静に考えてみれば当然の事である。声を掛けた千景は聖倭大学の二回生だ。卒業生でもない部外者のAがいるよりも、よっぽど自然である。

(馴染みの居酒屋のバイト君に―――高校生とランチしている所を見られるなんて・・・)

Aの心配を他所に、千景の反応は意外なほどドライだった。

「まぁ。休日に俺が大学にいるより自然か―――。二人とも極度のBookFairy(本の虫)だし…」

(二人とも…って、凪君もここの図書館によくいるって事？)

不思議そうに凪の顔をじっと見つめるA。一方の凪は、先程から千景をじっと睨んでいた。

「つーか、どうして千景がAさんの事知ってるんだよ」