【Avatar Code（アバターコード）】 (ページ13)

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Code No　02　② ページ13

「System Call ―――Main system Release Connect Brain- Augmented Reality machine Interface―――」

自らの左耳を右手で押さえながら、左手でAの耳に装着されたバームに触れると、凪は小声で呪文のような言葉を唱え始めた。

「何？」
「Aさんのバームとバディ接続したんだ。これでバームを起動すればAさんのいる場所が分かるし、何かあってもすぐに連絡できる。Aさんからも俺の場所がバームのバディポイントとして表示される。寂しくなったら俺を呼んで？」
「バームにそんな機能があるなんて…初めて知ったわ」
「通常は使えないよ。バームのメインプログラムに侵入してコードを開放しなきゃ…」
「侵入？コードの開放？」

理解できない言葉が次々に飛び出し、思考が追い付かないA。
それよりも、凪に触れられた右耳が熱くて、動揺を隠すのに必死だ。

「いつでも傍に居るよ…って事。じゃぁ俺向こうで本読んでるね？何かあったら呼んで」

ひらりと後ろ手を振ると、慣れた足取りで受付前を通り、本棚の隙間に消えていく。

「……なんなのよぉ―――もう」

顔のほてりを押さえながら、医学書の棚に向かうA。薬学本を数冊抜き出すと、空いたテーブルに座り本を開いた。

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ふとタブレットの端の時計に目を移すと、12時を過ぎている。

(そろそろ小腹もすいて来たし…お昼ね―――えっと、凪君は―――)

朝に言われたようにバームを起動すると、視界の隅にバディポイントとして蒼い点が表示された。どうやら凪は工学系の棚にいるようだ。
手に取っていた本をいったん元に戻すと、光点を頼りに凪の姿を探す。

(工学に興味があるなんて…将来は聖倭大学の工学科に進学するのかしら―――。確かこの大学には世界的に有名な博士が名誉教授として時折教鞭を取っていらっしゃるって言ってたっけ。)

行きつけの居酒屋でバイトしている千景が、確か聖倭大学の電気電子工学科2年と聞いていた。今度居酒屋に連れて行ったら、意外に話が合って盛り上がったりして！凪が未成年である事をすっかり忘れ、妄想を膨らませるA。
工学書の棚を覗くと、本棚に背を預け、もたれ掛かったままペラペラと本をめくっていく凪がいた。先程までのへらへらとした笑顔ではなく、真剣なその表情にドキッと不意打ちされる。