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オレンジに、包まれて ページ9
私の想いを知るもう１人は、
親友の真理佳だ。
真理佳は部活が終わったら、
私を図書室まで迎えに来てくれる。
それで、真理佳と一緒に帰る…
というのが、いつもの流れ。
村上先生に話したあの日も、
真理佳は迎えに来てくれた。
泣きすぎて、こすりすぎて。
目を真っ赤に腫らした私を見て、
真理佳は一瞬驚いた顔をした。
次の瞬間、図書準備室に走っていき、
濡らしたオレンジ色のハンカチを
持ってきた。
「A、これで目ぇ冷やし！
せっかくの美人が台無しやでっ」
そう言って、太陽のような笑顔を見せた。
真理佳の笑顔がまぶしくて。
一度溢れ出した涙は止まらなくて。
目を冷やすはずのハンカチは、
涙をぬぐうハンカチになった。
「A。
私はAのこと、親友やと思てるで。
せやから…。
もしAが話せそうなら…
私はいつでも聞くから。
もっと頼ってやっ」
私を抱き締めながら、真理佳は言った。
心も体も温かい真理佳に包まれる。
ほのかに、オレンジの香りがする。
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作者名：中塚スピカ | 作成日時：2015年11月10日 17時
