話しやすくて優しい人 ページ24
「これ…は…。
えっと…。
なんや、凄いなぁ。
なかなか凡人には分からん
ええセンスしてるんとちゃう？
これは何を描い…表現したん？」
ヤス君はもともと大きめの目を
余計にクリクリさせながら
私の絵を熱心に見てくれた。
「電話ボックスと、肉じゃがやで」
ま、見たら分かるだろうけど…
一応補足しておこう。
あまりに素晴らしい出来だからか、
ヤス君は写メまで撮っている。
「章ちゃんは、絵得意なん？」
「まぁまぁ描ける方やと思うで」
真理佳とヤス君の会話を
聞きながら考える。
ヤス君はどんな絵を描くんだろう？
なんとなく個性的なイラストとか
得意そうだよね。
亮ちゃんは、絵も上手い。
サラサラっと描いちゃう。
「そうなんや。
じゃあ、時間があればやけど…。
一緒にスケッチに良い場所
探してくれへん？
場所、全然決まらへんねん」
場所が決まらない原因が
何か言ってる…。
でも、それは名案だと思う！
「真理佳が巻き込んでゴメンやけど
私もヤス君が手伝ってくれると
助かるわぁ。
真理佳と二人だと、騒がしいだけで
全然場所探しせぇへんねんもん」
両手を合わせて、お願いする私。
「あぁ、そうやろなぁ。
真理佳ちゃん、おもろいけど
飽きもせんとずっーと
ギャグしてそうやもんなぁ」
貸出当番(仮)のときも思ったけど。
やっぱり、ヤス君は
周りの人のことを
よく見ている人なんだなぁ。
「あ、わかる？
せやねん、せやねん」
二人でクスクスと笑いあう。
あれ…私って、
こんなに男子と会話できてたっけ？
「ちょっとぉー。
あんたたちまで、私のこといじめるのっ？
真理佳ってば、愛されてる…」
あんたたち“まで”って。
“まで”って誰のことよ…。
あぁ、大倉くんのことかな？
ケンカするほど仲が良い
『ケンカップル』って感じだもんね。
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作者名：中塚スピカ | 作成日時：2015年11月10日 17時
