18.冬茜 ページ18
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⋯にしても、二人きりで話すことなんかなく。
一応北斗も気まずいって思ってんのかな、最近はそんな素振り一切見せないけど。
気が付けば無言のままあっという間に2往復が終わって、教材が乗っていた私の机は綺麗まっさらな状態になっていた。
差し込む冬茜を通り過ぎて、教室へ戻る。
「ありがと」
北「⋯あのさ」
私のお礼はガン無視で、なにか話を切り出そうとする北斗。
まあ別に、素直に「どういたしまして」とか言うわけないっては分かってたけどさ。
「なに?」
北「土曜の話、樹から聞いた」
「あー、鍋パの話?」
北「うん」
「北斗来ないでしょ、私いるしね笑」
自虐しといてなんだけど、勝手にちょっと傷ついた。
もう私が北斗に抱いている感情は、きっと誤魔化しがきかないもの。
北「⋯行くって言ったら?」
「⋯え?」
北「行くって言ったら、Aは嫌?」
別れてから、初めて北斗に名前を呼ばれた。
胸がぎゅーっと締め付けられて、あの頃を思い出して涙が出そうになった。
⋯嫌だなんて、そんなこと思うわけないじゃん。
「別に、来たいなら来ればいいと思うよ」
北「⋯そ」
「うん」
だけど、あの振られ方がふと脳裏をよぎる。
舞い上がってまた痛い目を見るのはきっと私だ。北斗は1度私のこと振ってるんだから。
北「Aが行くなら俺も行く」
「⋯なにそれ」
北「行くの?」
「行くけど、」
北「んじゃ、行く」
今の北斗が何を考えてるのか、私にはさっぱりわからない。
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くみ(プロフ) - 更新ありがとう御座います!拗らせ北斗くん大好きです!続き楽しみにお待ちしてます! (11月21日 13時) (レス) id: ac351487ee (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 続き読みたいです。 (7月29日 16時) (レス) id: c9c9d458e3 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 早く結ばれてほしい、別れた理由知りたいです。 (2023年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 541c7ab773 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫野 | 作成日時:2022年11月26日 22時