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｢図星で何も言えなかった｡こんな暗い感情を持ったままじゃ、もうミヤちゃんには会えません｡きっとこの感情が消えることは二度とないから、また前みたいに笑うことなんて……っ｣
涙があふれてもうこれ以上しゃべれない｡
辛い、苦しい｡
何で、こうなっちゃったのかな｡
ヒック、と声がおさまってくれない｡聞かれたくなんかないのに｡
涙もひきつったような泣き声も嫌い｡ミヤちゃんにどす黒い気持ちを持った自分も、嫌いだ｡
｢それならなおさら赤血球ちゃんに会った方がいいんじゃないかなあ｣
49さんがぼやくようにそう言った｡やけにその言葉が引っかかって、涙でぐしゃぐしゃになっただろう顔を49さんの方に向けずにはいられなかった｡
｢あーあ、ブサイクになっちゃったじゃん｣
だいぶひどいことを言いながらも、彼は私の顔を自分のハンカチで優しく拭ってくれる｡なんだか細胞さんに絡まれた時のことを思い出しちゃった｡あの時も涙を拭いてくれたっけ、たしかハンカチじゃなくて制服の袖だったけど｡
｢Aちゃんは自分の中の劣等感がうまく処理できなかったんだね｡だから辛くなっちゃったんでしょ?でもね、誰だって劣等感を持ってるもんなんだよ｡皆言わないだけでさ｣
きれいになったのかは分からないけど、49さんはハンカチを離して代わりに頭を撫でてくれる｡昔同じように撫でてくれたマクロファージ先生の手みたいに柔らかくなかったけど、すごく安心するところは一緒だった｡
｢だからね、Aちゃん｡自分ばっかり責めなくていいんだよ｡よくすみませんとか自分のせいとか言うけどさ、全部Aちゃんが悪いわけじゃないんだから｡自分を見直してあげて?｣
あまりにも優しい顔で、優しい声で言ってくるから、止まっていた涙が再び流れそうになる｡でも我慢だ｡
泣くことが必ずしも悪いこととは限らない｡だけど笑顔の方がずっとずっといいはず｡
懸命に笑ってみせると、いい子と言って彼は頭を撫でてくれた｡
……カーテンの向こうでドアの開く音がした｡
｢あとは2人で話しなよ｣
ヒラリと手を振って49さんは私の前からいなくなった｡
｢Aちゃんっ!｣
……また泣いちゃうじゃん、馬鹿｡
入れ替わるように入ってきたミヤちゃんを見て、私はそう思わずにはいられなかった｡
さあ、仲直りを始めよう｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
