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｢そういやAちゃんさ｣
｢はい?｣
ただいま酸素配達なう｡あれ、なうってもう古いのかな｡流行りについていけないぜ、まったく｡
20さんにバッタリ会ったので、途中まで一緒に行くことに｡
好中球さんたちと一緒にいるとじろじろ見られたりするんだけど、もうあんまり周りの目とか気にならなくなってきた｡まあね、お姫様だっこされてるところを堂々と、しかも2回も晒されればね｡ちょっとくらいの視線なんて平気になりますよ、ええ｡余裕余裕｡
20さんを見上げて次の言葉を待つ｡
｢白血球に憧れるようになったきっかけって何だったの?｣
｢あれ、話してなかったですか｣
頷かれてしまった｡あっれれー｡
もう話したつもりだったわ｡うっかりうっかり｡
｢実は赤芽球だった時に細菌に襲われたことがあるんですよ｣
｢えっ!?｣
｢ミヤちゃんが｣
｢ああ……｣
そこは納得するんだ｡ミヤちゃん、雑菌ホイホイだからなあ｡もうある種の才能ね、あれは｡
｢それで?｣
20さんに話の続きを促された｡じゃあちょっと昔話でもしましょうか｡
｢その時から私、好中球さんに憧れ始めたんです｣
かいつまんで20さんに話すことにした｡私自身は昔の記憶に思いを馳せて｡
私とミヤちゃんは赤芽球の頃から仲がよかった｡赤芽球時代はほとんど彼女と遊んでいた気がする｡
実は私にAって名前をつけてくれたのは、ミヤちゃんだったりする｡逆も然り｡3803番だから、最初の2桁をとってミヤって名付けた｡センスうんぬんは置いておこう、ミヤちゃんは嫌がってなかったからきっと大丈夫なんだろうし｡
方向音痴のせいで失敗を繰り返して泣いちゃうミヤちゃんを慰めるのは、私とマクロファージ先生の役目だった｡ミヤちゃんをからかう男の子に言い返すのも、私の日課だった｡
だからミヤちゃんを守るのは、私の役目だって薄々思ってた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
