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｢はあ〜〜っ……｣
顎を両手に乗せて橋の上から下を見下ろす｡何、あざといって?黙っとれ｡
｢Aちゃん、すっごい深いため息つくじゃん｣
26さんがケラケラ笑いながら、橋の手すりに肘をついた｡くそっ、顔がいいと何気ない仕草が様になって見える｡うーん、罪深い｡
｢だって全然進展ないみたいですし｡仲がいいのは好ましいことですけど、もうちょっと何かあってもいいと思いません?｣
橋の下で微笑ましいやり取りを繰り広げているであろう好中球さんとミヤちゃんを見て、私はそうこぼした｡
｢まあまあ｡あんまり急かさないでやってよ｡2人のペースってもんがあるからさ｣
｢そうですけどー……｣
20さんにそう宥められて、唇をとんがらせて不服なのを精一杯表現する｡確かに彼の言う通りだし、急かして変にこじれられるのも不本意なんだけどさあ｡
恨みがましく20さんを見ようとしたけど、彼も罪深いメンバーの1人と化していたのでやめました｡無理、イケメンずるい｡
そんなやり取りをしているとと、2人の無線がザザ……と音を立て始めた｡
｢はい、こちら2048番｣
代表して20さんが応答した｡すると無線の向こうから聞こえてきたのは、もはや聞き慣れた声で｡
『こちら4989番｡今どこー?』
｢あれ、49さん?こんにちはー｣
『あ、Aちゃんも一緒なんだね!こんにちは』
｢今、いつもの橋の上にいますよ｣
いつもの橋っていうのは、定期報告会する時に使ってる橋のこと｡第1回は散々な感じに終わったけど、あの後何回か行われている｡報告会って言っても回を重ねるごとにただ駄弁る感じになってるんだけど｡まっ、楽しいからいいよね｡
『本当?じゃあ下には1146番たちもいる?』
｢いますいます｡ほのぼのしてます｣
そう言うと49さんがとんでもない爆弾を落としてきた｡
『マジかー｡今キラーTが茶化しにそっち向かったんだよね』
｢待て4989番｡お前今どこいるの?｣
20さんがそう尋ねた｡あーこれ20さんの無線だったわ｡思いっきり占有してた｡すみません｡
『うーん、お前らがいるとこからは結構離れてるよ｡やっと橋が見える辺り?あいつ、目良すぎない?』
それを聞いて橋の反対側を覗く｡49さんはちっとも見えないけど、キラーT細胞がズンズン歩いてくるのはしっかりと捉えることができた｡嘘だろ｡
止めなくちゃ｡
もう気づいた時には足が動いていた｡20さんたちの｢Aちゃん!?｣って驚いた声は聞こえないふりをした｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
