馬鹿と天才は紙一重 (ページ10)

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4月。
学年が一つ上がる月の一番初めの日。
俺は日本を離れてイタリアへ移住してきていた。

母親「Aくんごめんね。
学校いきなりやめさせてイタリア連れてきちゃって」

父親「ありがとうな、俺らの子供になってくれて」

新しい両親は60代のご夫婦。
子供に恵まれなくて夫婦2人だけで過ごしてきたけれど
死が近づくにつれて子供の存在が愛おしくなったらしい。

それで桜井学園から俺を引き取った。

「全然大丈夫。
俺も新しい家族できてすごく嬉しいから」

笑って返した。
言葉も文化も違うイタリアに来るのは不安でいっぱいだった。

でも、なんか乗り切れそうな気がした。

父親「学校は私の勤務先に通うことになるけどいいな？」

「うん、日本語通じる？」

父親「さすがに通じないかな。」

「分かった、イタリア語勉強しなきゃね」

父親「A、バレーで有名だったんだろう？
知り合いに頼んでバレーチームに入るか？」

「え、！いいの！入りたい」

二つ返事で入りたいと言ったけれど、連れて行かれたチームは
セリエAの強豪トレンティーノだった。

父親「このチームにAの動画見せたら、
ぜひ欲しいって言ってくれて。
高校生ながらプロリーグ参戦ってことになるらしいぞ」

えええええ？？？