馬鹿と天才は紙一重 (ページ46)

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お互いに2セットずつ取り合った状態で迎えた
泣いても笑っても最後のセット。

西田「Aさん、サーブどうすか？」

「今日調子いいね。このままで。」

西田「ぶちかましてきます」

「世界のバレーを楽しんでね」

はい！といい返事をしてコートに駆けてく西田。

そして一人残った石川祐希。
その整った顔には少しの緊張と期待が込められていた。

「祐希、力ぬいて。楽しんでいっておいで。」

石川「ありがとA。
……Aの分まで楽しんでバレーしてくる。」

「こちらこそありがと。
俺が勝てなかった石川祐希なんだから大丈夫」

ほら、行ってこい

と、祐希の背中を強く叩いた。

最後のセット。

選手達がコートで世界を相手に戦う姿を
俺は車椅子から離れ、両足で立って観戦した。

✕

9-9

そこで西田のサーブ。

ちらっとベンチを見ると、車椅子に座って見てたAが
杖を使わず両足で立ってた。

「A立ってる」

西田「勝ちましょーね、祐希さん」

「絶対な。」

西田のサーブは気持ちよく決まった。

そして迎えたマッチポイント。

西田の左手から放たれた強烈なボールは
相手選手の腕を弾いて飛んでいった。

あいつ、やりやがった。

西田「Aさん！！！」

「よくやった！！よくやったな西田ぁ！」

石川「勝ったよ」

「ちゃんと見てたよ」

泣きそうだった。
必死に涙を堪えてた。