馬鹿と天才は紙一重 (ページ45)

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「祐希！祐希！！落ち着け。
レフトからのレセプション、また乱れてる。」

「西田ーー！着地ちゃんとしな。
次の動き出しが遅くなってる。」

一人一人にデータに基づいた情報や対策を与えていく。

タフな試合にヒートアップしてく選手達の
メンタル面もプレーに影響しないように。

「祐希、下見るな。前だけ見ろ。」

祐希に声をかけて腰を叩く。
緊張すると祐希は腰の辺りの力が抜けにくくなる。

「思いっきりやれ、西田。
責任は上がとってくれる。暴れろ、見せつけろ。」

西田の肩を撫でて目を見て頷けば、
顔をくしゃくしゃにして俺に頷き返してくれた。

西田「暴れてきます、見ててくださいね。」

石川「行ってくる」

行ってらっしゃい、そう言った。

そして迎えた長い戦いの最終戦。

相手はカナダ。

数々の勝ちと負けを繰り返しここまで来た選手達。

マサさんを中心に作り上げられたチームは仲が良くて雰囲気がいい。
たまにぶつかり合うこともあるけれど。

清水「じゃあ気合い入れいこか」

邦さんの声でみんなが集まる。
監督、コーチのあと、俺が口を開いた。

「よし。最終戦ぶちかましてきてください！

情報はいつも通り言っていきます、でもその情報だけじゃなくて
自分達の主観を信じてプレーしてほしい。

暴れて、見せつけて、日本らしいバレーを楽しんでください！」

選手達の目がとてもいい目だった。