馬鹿と天才は紙一重 (ページ40)

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柳田「Aー！今のサーブどう？」

「何か左手伸び切ってない気がします。」

柳田「そっか。
サーブトスの回転が合わないんだよね。」

こうトスしてこう打つ！
って実演したいけどできないから言葉で必死に。

マサさんは伝わるのが比較的早い。
祐希みたいな馬鹿タイプは難しい。

石川「A、今日飯行こ」

「え、祐希車持ってんの？」

石川「タクシー乗る」

「あー俺歩こうか？杖あったらいけるし」

石川「黙って甘えてろ」

なんでこうも上から？？
まあ、背くとめんどくさいから素直に頷く。

石川「Aさーもうバレーやんないの？」

「アナリストで十分。」

石川「ふーん、あん時と違うねー」

「あん時？」

石川「怪我した直後。
目の光何か無いし右の手足の皮膚はボロボロだし。

見るのが辛かった。
でも、Aが生きてる！って感じがした。」

ボロボロなのを見て生きてるって思うなんて
俺酷いやつだなー

と、遠い目をして自嘲気味に笑う祐希。

何も返す言葉が見つからなくて黙ってたら、

石川「黙んなよー。」

「ごめんて。
あの時の事さあんまり覚えてない、実は。」

石川「事故も？リハビリも？」

「んーん事故の瞬間とリハビリの辛さは覚えてる。
けど、事故後イタリアにいた時の記憶ない。」

石川「へーそんなもんなんだ。」

酔った祐希を介抱するのはめちゃくちゃ大変だった。