馬鹿と天才は紙一重 (ページ31)

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Aに言われて、Aの手足を確認した。

俺が今、握ってる手は左手で、握り返してくれたのも左手。

「ちゃんと手足あるよ、指もちゃんと5本ずつ。」

八雲「じゃあさ、祐希、俺の右手持ち上げてくれない？」

握ってた左手を離し、ベッドの右側へ回る。
そして右手を触ってそのまま持ち上げた。

「どう？A」

Aの顔を見ると、ぼーっと一点を見つめていて、
呼びかけても無反応だった。

しばらく待ってからもう一度呼びかけると、

八雲「ねえ、祐希。先生呼んできて。
右手と右足の感覚がないんだ。」

泣きそうな顔で俺を見て言うAに返す言葉なんてなくて
無言で病室を出てナースセンターへ向かった。

また病室に戻るとすぐに医者と看護師が来て、
Aはストレッチャーに乗せられて運ばれて行った。

何時間経ったのか、はたまたそんなに時間が経ってないのか。

俺的には5時間位経った頃。
ストレッチャーに乗せられてAが帰ってきた。

運ばれて行った時と違うのは、眠っていること。

看護師によれば、鎮静剤らしい。
検査で取り乱し、手がつけられなくなったから。

そしてそのまま俺は医者に連れられてAの検査結果を聞かされた。

眠る前のAが俺に結果を伝えて、と言ったから。