まちがいさがしの世界で〔虹〕*

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A side .








やばいかもしれない。




それは、思ってたよりもずっとずっと早く自覚した。








座ってても頭の中がぐらぐらして、視界が揺れる。




頭痛がして、みんなの話し声が頭に響く。




昨日楽でいられたのは、やっぱり治療のおかげだったんだ……








挙げ句の果てには吐き気まで襲ってきて、このまま楽屋にいるのはまずいと思った。








だから、こっそりトイレに行こう。




そう思ったのに、立ち上がった瞬間目の前がぐるんっと一回転するような感覚に思わず椅子を掴んだ。








と同時に、ガタンッと椅子が大きな音を立てる。








重「A、何してるん」








大毅くんに見られて、みんなの視線が一斉に集まる。




それでも何とか誤魔化して廊下まで出てきたのに、








.








神「A！」


「…… っ、」








.








なんで、




なんで神ちゃんには、いつもバレちゃうんだろうね。








神「大丈夫か？顔色やばいぞ？」


「……なんで、分かるの、」


神「なんでって…… だって、最近のAおかしいんやもん」


「おかしいって、何が……？」


神「んー、なんやろ、なんか本調子じゃなさそう」


「それは、体調崩してたから……」


神「いや、違う」








そう言いながら、ふらっふらの身体が不意に抱きしめられる。








「……っ、ちょっと、」


神「ごめん…… でも、放っとかれへん…… こんなしんどそうなA、一人に出来ひんねん」








.








まさか、こんなに早く気付かれるなんて思ってなかった。








結局いつもそう。




どんなに隠したって、神ちゃんにだけは負けちゃうの。




デビュー前、そこまで一緒にいる時間が長くなかった時からずっと……








.








神「今、どんな感じ？」


「……めまいして、気持ち悪い、」








神ちゃんは廊下にあった椅子まで私をゆっくり連れてってくれて、ちょっと待っててな！ってどこかに走って行った。




みんなに、言いに行ったのかな……








それでも思うように動かない身体じゃどうにも対抗出来なくて、




ただただ襲ってくるめまいと吐き気に、目をつぶって耐えるしかなかった。








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