▽ ページ11
.
息を殺して身を潜めても、それは叶わないものだった。
「あれ、シャークんじゃん」
「…なに？」
「何してるのこんな所で」
「別に…」
下から顔をのぞかせたなかむは俺を見つけると、いかにも楽しげな表情をした。新しいおもちゃを買ってもらえた、そんな感じの目。
彼はよいしょと登ってくると、人二人分で少し狭いくらいのこの空間に入ってくる。
「シャケ、きりやんから診断受けた？」
「や、受けてないけど…」
「おー良かった。ちょうど今からやろうと思っててさ」
「！！」
後退りをするが後ろは木の壁だ。登ってきた入口はなかむが塞いでいる。
「その反応、もしや二人から聞いたな〜？」
「……」
「まあ治療だと思ってさ、」
そう言うとなかむはポケットから香水瓶のような何かを取り出すと、俺に向かって一押し、甘い香りが漂った。
風に乗ってその香りを吸い込んでしまうと、途端にくらりと目眩がする。
「なに、これ…」
「これは「誘発剤」。…強制的に誘惑型を発症するような成分を含ませたんだけど、耐えられるかな？」
「……ｯ…」
大丈夫、耐えられる。
そう自分に暗示をかけて深く息を吸っても、段々と上がる拍動は落ち着くことを知らなかった。胸に手を当てて何度も深呼吸をする。すればするほど身体が暑くなる。
「はぁｯ……っ、くっそ、…」
「ほら、暑くなってきた？」
「っ、はぁｯ………っ、ふーｯ…」
「我慢しなくていいんだよ？」
「ｯ！」
力が抜けてその場に座り込んだ俺に、なかむは膝で跨るようにして足との隙間に自分の足を入れる。彼の足が内腿に擦れるだけでもくすぐったい。
膝の内側にピタリと人差し指をつけられ、足の付け根に沿ってなぞられるとゾクゾクと背中が疼いた。
「ｯ、……んん…」
「……結構耐えるじゃん。こりゃ〜獣型派だね…誘惑型の発症率低そうだなぁ」
「…！」
早く終わってくれと必死に耐えていると、何処かから声がした。なかむはその手を止めて耳を澄ます。
「…〜い。シャケ〜？中庭終わった？」
声の主はきんときだった。
もう入口に見るものが無くなったのか、情報交換をしようとこちらに来た彼の声がだんだんと近づいてくる。
なかむはその声を聞いてにやりと笑えば、急に足に這わせていた指を服の中に滑らせる。
「〜ｯ?!!」
ビクンと身体が反応してしまう。
「ほら……声我慢しないと、こんなやらしい格好してるのきんときにバレちゃうよ…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 443人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴蘭(プロフ) - 莉那さん» うわ〜嬉しいコメントありがとうございます🫶🏻 続編もありますのでよければ~!! (9月5日 14時) (
レス) id: 2fab1d37c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - ひなちぃさん» お久しぶりです、またお会いできて嬉しいです🥲 ありがとうございます、�兇諒�もちまちま更新しているのでよければ..! (9月5日 14時) (レス) id: 2fab1d37c8 (このIDを非表示/違反報告)
莉那 - やっぱり何度読んでも最高ですね！ (7月12日 20時) (レス) @page44 id: 69b8b4c83b (このIDを非表示/違反報告)
ひなちぃ(プロフ) - お久しぶりです。久しく読めてなかったんですよね……。ワイテル病�供�読んできまっす！ (2023年4月23日 17時) (レス) @page47 id: 8ae4718e57 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - まりんさん» 大丈夫ですよ〜、knさんが受けのｴﾁｴﾁですね^^ 次回作で書かせて頂きますのでよろしくお願い致します！😌 (2023年4月1日 23時) (レス) id: 2fab1d37c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴蘭 | 作成日時：2022年9月2日 20時
