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〔 目黒 〕
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「いつも通り、皆でYoutubeの撮影やってた時。
……財布をね、忘れたの」
忘れものくらい、誰にでもある。
でもきっと、それが翔太くんの病気に関わる事だったんだ。
「その時は、あまり気にしてなかったの。でもね、次の日も、
また次の日も、忘れ物を繰り返すようになった」
「……自分ではきちんと用意したつもりだったんだけど、なぜか忘れる」
確認もしたのに、何故かわすれてしまう、
思い出せない、きっと、怖かっただろう。
「そんな時、舘さんが気づいた」
その言葉で、皆の視線が一気に舘さんの方に向く。
「なんか、俺等に隠し事してるよね？ って言ってたの。
咄嗟に、嘘を吐いた」
何年も一緒に居る幼馴染にも話せないくらいだったんだ。
「でも、俺、素直だからさ。挙動不審だったんだと思う。だから、その日から、
舘さんがよく絡んでくるようになった」
そういえば、
と過去を振り返る。
ペア撮影の時も、舘さんは翔太くんを選んでいた。
ラジオでも、わざと予定を変える事もあったような。
「……事務所を辞めようと思ったのは、その直ぐ後。」
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作者名：呉歩 | 作成日時：2022年5月29日 9時
