デジャヴ ページ48
10日後の夕刻。
Aは、警察病院のロビーにいた。
”早川 瑞希”の退院手続きを終えたところだ。
傷口は塞がりつつあったが、
当然、”まだダメだ”と主治医や看護師に止められながら、
他の病院に必ず通院すると言って、
半ば押し切る形で、手続きを進めて貰ったのだ。
売店で適当に購入した服に身を包み、
歩く振動で、まだ鈍く痛む腹部に軽く手を当てながら、
エントランスへ向かう。
『…おい。
まだ、安静なんじゃないのか』
「…はぁ。
さすが、情報が早いのね」
目の前に立ち塞がるように現れたのは、
降谷零。
『傷口も塞がっていないんだろう…
勝手に病院を抜けだそうなんて、
どこまで危険を犯せば気がすむんだ…』
そう言って、右手を握りしめる降谷は、
真剣な、心配そうな表情でAを見つめた。
このタイミングで病院に来たのは、偶然、か。
“退院手続き”をしたことが、知られていた訳ではないようだ。
「失礼、ね。正式な手続き、よ。
それに…
貴方と、知り合いだったのかしら。私。」
『…は?』
「”早川瑞希”は、貴方と知り合いだったの?」
『…』
病室で、
“気に入った”と、軽口を叩いていたA。
しかし、
彼女が、今の状況を、
自身の置かれた危険な状況を、
掴めていない訳はなかった。
それは、
ビル跡地での彼女の行動が、
そして、
病室での、
降谷が置かれている状況をも心配するような、
Aの言葉が、物語っていた。
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white12(プロフ) - さちさん» >さち様 とても嬉しいコメントありがとうございます!大変励みになります。更新にはややムラがあり申し訳ないですが、これからもご愛読頂けたら嬉しいです! (2019年7月23日 8時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年7月23日 2時) (レス) id: 546dffdabd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月21日 10時