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選択_4 ページ27

「…今、取り込み中なんだけど。後にしてくれない?」

受話器に耳を当て、やや不機嫌そうな声を出すベルモット。


(…組織、からか?)

まさに引き金を引こうとしていたバーボンの指が、
一瞬止まる。


「…え?
至急…って…
ジン。そんな急に言われても困るわ。
…何…?ちょっと、聞こえにくいんだけど…」


焼け落ちて開放的とは言え、
周囲は、ビルに囲まれている空間。

電波が悪いのだろうか。
ベルモットは、眉をひそめてゆっくり移動し始めた。
バーボンに、鋭い視線を向けながら。


“了解”というように、
冷たい表情に、無機質な笑みを浮かべるバーボン。



ベルモットの声が遠ざかるのを確認し、
降谷は、Aの耳元で小さく囁いた。


『逃げてください。
貴方は既に拘束を解いていた。
そして僕は、不意をつかれて、取り逃がしたことに――』

「撃って。」


降谷の言葉を遮り、
Aは、
小声で、しかし、しっかりと降谷の目を見つめて告げた。


『…』

「良いから、撃って。」


そうして、
自ら解いたロープを外し、その右手で”バーボン”に向けられている銃口を握るA。


『…逃げて、ください。
あとは、僕が何とかします』


「…確証が掴めて良かった。」


『…え?』


「貴方の言う、
貴方も追っている"組織"が関わっていたんだってこと。」


Aは真剣な目をして、
小声で降谷に告げた。


「あの日狙われていたのは、
小石川じゃなかったのかも、しれない。
ううん。彼が狙われていたのだとしても、
…きっと、私”も”同じだったのよね。」


遠ざかっていたベルモットの声が、
少しずつ大きくなり始める。


(…ベルモットが戻ってきたら…
やはりもう、撃つしか...ないのか…)


わずかに顔を歪める降谷に構わず、
Aは続けた。


「…姿も見せずに、
簡単に人の命を奪うような連中なんでしょう?
…貴方が、同じように狙われるかも、
しれないでしょう。
危険な目に合わせてごめんなさい。


…もし、叶うなら、
父に、何があったのか、
その真実が明らかになる日が来ることを――」

『…!』


小さく瞳を揺らし、
しかし、すぐさま真剣な表情でグッと両手で銃口を掴み、
自身の胸に引き寄せる A。

降谷はとっさに銃口の向きを変えようと、
右手に力を入れるも、
Aは即座に、片手でリボルバーに指を掛けた。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - さちさん» >さち様 とても嬉しいコメントありがとうございます!大変励みになります。更新にはややムラがあり申し訳ないですが、これからもご愛読頂けたら嬉しいです! (2019年7月23日 8時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年7月23日 2時) (レス) id: 546dffdabd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月21日 10時

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