尋問 ページ17
翌朝。
笹木は捜査一課の取り調べ室にいた。
「なんで、あの日BAR Adler近くにいたんだって聞いてんだよ」
「…気になってた店なんで、立ち寄ろうと思っただけですよ。」
あの狙撃事件は、
まだ犯人は捕まっていない状況だ。
また、現場の血液のDNAから、少なくとも2名が負傷していたことが分かっていた。
しかし、
その後の捜査は進んでいないようだった。
どうやら、笹木の言う”最新の防犯カメラ”に、
狙撃があった20分後に笹木本人も映っていたようで、
なぜ現場にいたのか、と詰め寄られているところだ。
「たまたま、ねぇ。
女を連れてたって目撃情報もあるんだが…?
その女は肩が赤く染まってた、ように見えたって証言が、な」
「…」
「公安マターだか何だか知らねぇが、
このまま捜査打ち切られてたまるかってんだ。
お前、何か知ってんだろ?
その女が犯人なんじゃねぇだろうな?
まさか…匿ってたりしねぇだろうな?」
確実な証拠も何もない状況で、
捜査一課の刑事は焦っているような、怒りを滲ませた口調で笹木に詰め寄った。
“公安マター”
降谷が手を回したのか、
公安預かりの事件として、
一課による捜査は、打ち切られようとしているようだ。
当然、それは、今の笹木には知り得ぬ情報だが。
(公安マター…?
あの狙撃事件は、公安が関わっているのか?)
「…知りませんよ。
BARに一人ってのも味気ないと思いまして、
その辺にいた女、引っ掛けただけですよ。
あぁ。そういえば赤い服着てた気がしますね。
あんまり覚えてないですけど。
あのBARの近くで事件があったことを知って、
結局店には行けずに女ともそこで適当に別れましたけど。」
「適当なこと言ってんじゃねぇぞ」
「…適当な事って…。
刑事さんだって、
BARに連れて行く女、”適当に”引っ掛けること、あるでしょ?」
平然と、
何も知らないことを淡々と述べる笹木には、
Aのことを漏らす考えなど毛頭ない。
「自分の業務もあるので、もう良いでしょうか?」
「…チッ」
警視庁内の人間を取り調べで拘束するには、
それなりの理由が必要になる。
防犯カメラに映っていたという理由だけで、
そこまで引き延ばすことは難しいと感じたのか、
これ以上詰め寄っても拉致があかないと感じたのか。
捜査一課の取り調べは、刑事の舌打ちを合図にしたかのように終了した。
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white12(プロフ) - さちさん» >さち様 とても嬉しいコメントありがとうございます!大変励みになります。更新にはややムラがあり申し訳ないですが、これからもご愛読頂けたら嬉しいです! (2019年7月23日 8時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年7月23日 2時) (レス) id: 546dffdabd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月21日 10時