拘束_5 ページ16
「何で…そんなこと、出来るわけないじゃないですか…」
「…ごめん。」
ポツリと謝罪を漏らすと、
銃口をそっとジャケットにしまう A。
「でも…ハッキングの能力は相変わらず、ね。
さすがだわ。」
Aはニヤリと小さく口角を上げ、
そう言い残すと、そのままその場を去った。
その表情は、
笹木が、
捜査二課で、Aと捜査中に何度も目にしたものだった。
残された笹木は、
やりきれない表情を浮かべ、
瞳を静かに揺らしていた。
「…ごめん、ね。」
同じく瞳を揺らしながら、
先ほどまでの声は比にならないほど、
か細い声で漏らしたAの謝罪は、
米花町の小さなざわめきの中に、消えて行った。
_____
ビル跡地から離れ、
自身のウィークリーマンションに戻るため、
Aはさりげなく周囲を警戒しながら、歩を進めていた。
電灯が並ぶ路地に一旦進むも、
笹木の言っていた”防犯カメラ”の話を思い出し、
そっと、路地裏へと身を隠すように移動する。
すると――
目の前に現れたのは、
最も会いたくなかったような、
それでいて、警戒心だけでない、
小さな、ほんの少しの安心感を感じる人物、
降谷零の姿。
「…」
「…」
しばしの沈黙が続き――
「…貴方にも見つかってしまうなんて、ね」
Aがポツリと零すと同時に、降谷は小さく口角を上げた。
「…やっぱり、知り合いだったのね」
「…!?」
女のような声で呟いたと思った刹那、
降谷は地面を蹴り、Aとの距離を瞬時に詰めた。
“元”刑事の勘か、
至近距離に現れた”降谷零”に違和感を感じ、
とっさに、蹴りを喰らわせようと身構えた瞬間、
首筋に感じる強い衝撃。
――Aはそのまま意識を失った。
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white12(プロフ) - さちさん» >さち様 とても嬉しいコメントありがとうございます!大変励みになります。更新にはややムラがあり申し訳ないですが、これからもご愛読頂けたら嬉しいです! (2019年7月23日 8時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年7月23日 2時) (レス) id: 546dffdabd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月21日 10時