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拘束_4 ページ15

「充分よ。本当に助かったの。
あの高架下で見つかったのも、正直言うと、本当に助かった。
ありがとう。でも、詳しいことは話せない。」

「…!」


それでも何も話そうとしないAに、
笹木はとっさに、
彼女の肩を掴んだ。


「…っ」


その肩に負った傷は浅いものではない。
傷口が塞がっていないだろうと、笹木自身が先ほど口にしたばかりだ。

Aは強く目を瞑り、その表情を歪めた。


「…す、すみません…!!大丈夫ですか!?」

「…平気、よ。」




しばしの沈黙が続く。

「…どうしても、手伝わせて貰えないんですか?」

「…ええ、無理よ」

「俺…見てられないです。


捜査二課にいた時も、
片桐さんは無鉄砲で、その…怖いところもありましたけど、
…俺の憧れで、
俺の大事な、人...なんです」

「…」

「だから、俺――」

「ごめん。」

意を決したように、
自身の気持ちを、
そして、どうしても話して欲しい、
放っておけない、と懇願するように、
続けようとした笹木の言葉をAが制した。


「…もし、そうなら、
尚更、話せない。話すつもりは、ない。」

「…何で…!」


笹木がAの腕に触れそうになった瞬間、
自身の胸に押し当てられる硬く冷たい感触。

そこには、
Aのジャケットからちらりと覗く、笹木、自身の銃があった。


「え…」

「ごめん。
私は、貴方のことそんな風に見たこと、一度もない。
ただ、良いように利用してるだけ。
情報も、この銃も。
勝手に、良いように、貴方を利用させて貰ってるだけ。」

「片桐、さん…」

「納得がいかないなら、許せないなら、
上に報告、してほしい。

“元捜査二課の片桐Aは、
笹木啓太の銃を奪って、
貴方を脅して警察内部の情報を引き出しながら、
何らかの捜査を続けているようだ”、って。
そうすれば、何かの形で、
私が何をしようとしているのか、分かるかもしれない。」


外からは見えないように、ジャケットで覆いながら、
笹木に銃口を押し当てて、
Aは、
表情を変えずに、
そして、周囲には聞こえないように静かに淡々と話し続ける。

それが、先ほどの笹木の言葉を踏まえれば、
どれほど残酷な言葉なのかを、理解した上で。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - さちさん» >さち様 とても嬉しいコメントありがとうございます!大変励みになります。更新にはややムラがあり申し訳ないですが、これからもご愛読頂けたら嬉しいです! (2019年7月23日 8時) (レス) id: 1425135a30 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年7月23日 2時) (レス) id: 546dffdabd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月21日 10時

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