逃れられない想いとともに。(4)【松田陣平】 (ページ32)

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隠し続けた罪悪感_5 ページ32

「アンタ…
もしかして、その場に…」

公園で父親を待っていた葵は、
爆弾によって、
突如目の前で上がる火の手を見て、
その数時間後に父親が巻き込まれた事実を知らされた、ことを、

嗚咽を漏らしながら、
もう、誰に向かって話しているのか分からない、
そんな様子で呼吸を乱しながら話す葵の前に、しゃがみこむ松田。

若宮隼人の事件を引きずりながら、
それを乗り越えられないまま、

父親を失った、という、ことか。
それも、目の前で。
自分が、呼び出した公園、で。

隼人の事件を引きずることで、
彼への罪悪感を引きずり続けることで、
“爆弾”を、”卑劣な犯人”を憎む事で、
父親への罪悪感をすり替えるように、隠してきたのだろうか。

やりきれない感情が、
松田の頭を支配する。

(…あの時、
俺を見て謝っていたのは…)

松田の部屋で、
何度も謝罪を繰り返していた葵を思い出す。

“ごめんなさい…ひどいこと言って。
ごめんなさい…私が呼び出した、から…”
部屋を去る直前、彼女はそう、言っていた。

爆弾事件で、必然的に父親の事件を思い出し、
抱えてきた罪悪感を…吐き出していたのだろうか。

その目の前で小さく謝罪を繰り返す、
葵の呼吸はどんどん速くなっている。

「…っ！？」

ふっと、
思考を取り戻した松田の視界に映るのは、
苦しそうに目を瞑りながら胸を押さえ、呼吸を乱す葵の姿。

『ハァッ…ハァ…』

「お、おい…！」