狙われた法律事務所_7 ページ22
翌週。
出勤前、葵は新聞のある記事を凝視していた。
“J&R法律事務所に不審な爆発物”
昨日、事務所宛に小型の爆弾が送りつけられたらしい。
15 cmほどの箱。
送り主は司法書士法人 TA事務所。
先日、茅野法律事務所に届いたものと同じだ。
(うちが狙われたわけじゃない…?)
あの後、小包内の指紋や発送元の調査な警察の捜査が進められていたが、犯人を特定する手がかりは掴めていなかった。
茅野や白石、葵は、担当したクライアントや裁判の情報から心当たりを探ってみたが、
正直なところ恨もうと思えば恨まれるような要素は多く、”心当たり”というものが難しい状況だった。
そんな中での、この記事。
確か、J&R法律事務所は、以前木本の件で関わった飯野弁護士の事務所だ。
(関わり…というと、木本の案件…?
まさか…)
木本は、現在服役中である。
コンビニ強盗の一件で”強盗未遂”と判断され、また、心底反省している様子から、情状酌量の余地があると考慮され、刑期は1年となった。
一方、例の店長は、名誉毀損および暴行の罪で木本から訴えを起こされ、示談金を元に和解に至りつつある。
あの店長は、おそらく自分を恨んでいるだろうな。
葵はそう感じている。
葵がいなければ、単にコンビニ強盗の罪で木本が逮捕される、というだけだったはずなのだから。
でも、それなら、J&R法律事務所にまで爆弾を送る意味が分からない。
葵は眉をひそめながら、念の為周囲を警戒しながら自宅を出た。
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時