逃れられない想いとともに。(2)【松田陣平】 (ページ1)

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告白ページ1

日はやや傾き始めていた。
駅に向かいそのまま電車に乗れば，暗くなる前に自宅に着くだろう。

ふと，公園が目に入る。
滑り台と小さなブランコが1つだけの，小さな公園だ。
自然と足を踏み入れる。
杯戸町で，隼人と真人と遊んでいた家の近くの公園と，何となく雰囲気が似ている。

ブランコに腰を下ろすと，キィ…と小さな悲鳴のような音が鳴った。

幼い頃から一緒に過ごした隼人。
一緒にいた時間より，いなくなってからの時間の方が長くなるまえに，
10年越しに，
墓前で手を合わせることが出来た。

(隼人兄ぃ，
ずいぶん遅くなって，ごめんね)

心の中で，ぽつ，と小さな謝罪を漏らす。

人通りの少ない場所のようだ。
周囲に通行人はほとんどおらず，
ただ，遠くから，電車の音が聞こえる。

しばらくそうしてぼんやり過ごしていると，

「あ…！葵姉ちゃん…!」

ふと，自分を呼ぶ声に顔を上げる。

『え…真人、くん？』

結子と同じく，6年前に会ったきりだったため，あまり自信は無かったが,聞き慣れた声。
見慣れた面影とともに，隼人の弟，真人が，少し息を切らしながらこちらに走っているのが目に入る。

「よ、良かった…見つかって。」

『ま、真人くん…だよね？ど、どうしたの…？』

「母さんから，墓参りに来てくれたって聞いて，
帰っちゃったって言ってたけど，間に合えばって」

『えっと…私に話があったの?』

ハァと息を乱しながら話す真人を目の前に，見上げるような状態の葵は，

背ずいぶん伸びたな…

と，この場に似つかわしくないことを思った。