連続通り魔事件_5 ページ10
そうこうしているうちに、
1台のパトカーが到着し、
「お疲れ様です!」と元気な男が降りてきた。
「こいつですか…えっと…気絶してますけど。松田さんが?」
「いや、この女が」
くいっと顎で葵の方を指すと、
男性は目を見開いたのちにニヤリと笑い、
「またまたぁ。」
と言いながら、気絶した男をパトカーに押し込む。
冗談だと思ったのだろう。
「自分、警視庁捜査一課の高木と言います。えーと、あなたは…」
高木と名乗った男は葵に話しかけたのだが、
代わりにグラサンの刑事が答える。
「いや、だから…この男にナイフで襲われそうになってたんだよ。
で、コイツを投げ飛ばした、ってこと。」
「えっ…!お怪我はありませんか?」
『はい。大丈夫です』
さらりと答える葵に、高木はあからさまな安堵のため息を漏らした。
「ということは、被害者ですよね?えーと、とりあえず、もう夜も遅いので、明日詳しいことを聞かせて頂けますか?」
葵から、名前と連絡先、簡単に現場の状況を聞き、明日11時に改めて事情聴取を、と話をつけると、
「家まで送らせて頂きたいところですが…お宅は近くですか?」
と、心配そうに声をかける。
『はい。近くですから大丈夫ですよ。ありがとうございます。』
高木の言葉は本心だと感じたが、気絶しているとはいえ警官1人というのは危険なため、目の前の刑事2人は男の連行を優先する必要があると、葵は当然理解していた。
「そうですか。くれぐれも、お気をつけて。」
小さく微笑む葵に軽く会釈をして、
高木は、松田と呼ばれたグラサンの刑事とともにパトカーに乗り込んだ。
「気をつけろよ」
グラサンの男は窓から葵にそう言い残して、
パトカーは去っていった。
ふと、足元に目をやると、膝が小刻みに震えているのが分かった。
とっさのことだったとはいえ、
状況がひと段落すると、やはり多少の恐怖は襲ってくるもので。
それを自覚すると、ブルっと背中に大きな震えを感じた。
葵は、もともと合気道を嗜んでおり、
実戦経験も何度かあるが、
夜道に襲われるなんて経験は初めてだ。
葵は小さく震える体を抑えながら、
(今日はゆっくりお風呂に入って癒されよう…)
そんなことを考えながら、
グッと力を入れて自宅へ向かった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時