再び警視庁にて_2 ページ40
案内されたのは前回とは違う小さな部屋だった。
葵は事の経緯を説明し、松田への嫌疑は取り下げられるだろうこと、
調書を作成しなおして貰いたいことを伝えると、松田は面倒臭そうにフゥと息を吐いた。
『…貴方自身、
名誉毀損で木本を訴えることも可能ですが…』
「は…?
アンタどっちの弁護してんだよ」
サングラスではっきり分からないが、松田は明らかに怪訝な表情を浮かべているように見える。
『進言ではありません。
あくまで事実をお伝えしています。
木本は、正しく裁かれるべきです。虚偽による貴方への訴えも、それに至った経緯も、同じく考慮する必要があります。』
「アンタ、やっぱり変な奴だな」
『そう言われるのは、あまり気分のいいものではないですね』
苦笑混じりに、笑みを浮かべる葵に同調するように、松田も口角を緩めた。
「…訴えるとか、そんなつもりねぇよ。
面倒臭ぇ。
まぁ、それでクビになったってんなら話は別だけどな。とりあえずまだ、謹慎にもなってねぇし。」
『再聴取では木本は正しく供述してくれるはず、です。
貴方への嫌疑も間違いなく晴れると思います。』
(やっぱり、この人は周りの評価だとか昇進には興味のない人だ。)
葵の認識は間違ってなかったようだ。
一通り話し終え、部屋を去る葵に向かって、
「あー…
…助かった。サンキュな。」
松田は小さく礼を投げかける。
柔らかい笑みで答える葵の心は、
晴れやかだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時