3度目の正直_2 ページ33
慣れたように受付での書類記入を済ませ、
アクリル板で仕切られた面会室へ向かうと、
すでに木本が椅子に座って待っていた。
『こんにちは。木本さん』
軽く会釈をする神山とともに椅子へ座り、木本と目線を合わせる。
「…なぁ、いつ釈放されるんだよ」
唐突に聞いてくる木本は、身を乗り出して続ける。
「強要されたっってんだろ。そういう自白って確か無効なんだよな?だったら…」
『確かに、そうです。強要された自白に、証拠とする能力はありません。
でも、それを主張するためにも、もう少しお話を伺いたいんです』
「話って、もう話しただろ…!」
苛立った様子を隠さず木本は叫ぶように言葉を零した。
『…先日、見せて頂いた怪我、取り調べ中に受けたんですよね…?
もう一度見ても?』
「あ…?これか」
そう言って、カットソーの袖をめくり、先日葵たちに見せた痣の残る右腕をあらわにする。
『これ、本当に取り調べ中についたんでしょうか?』
茶色くなった痣と、小さなかさぶたになった傷が重なった様子の木本の右腕を見ながら、葵が問う。
「は…?だからそういってんじゃねぇか」
『確か、神山君、4-5日前に階段でぶつけたって、怪我してなかった?』
「え?」
急に問いかけられた神山は、2-3度瞬きを繰り返し、
「あ、あぁ。これですか?」
と、左腕に出来た痣を見せる。
木本の怪我よりは軽いようだが、まだ青みが残った痛々しさの残る痣だった。
『痛そうね…。』
と、葵が顔を歪める。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時