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指名案件 ページ3

いつものように簡単な弁当でランチを済ませ、クライアントとの約束の14時。

コンコン

軽くオフィスのドアがノックされ、
2名の男性が入ってくる。


「お約束していた、J&R法律事務所の飯野です。」
「アシスタントの早川です。」

『お待ちしていました。結城です。』
「同席させて頂きます。白石と言います」

葵は、白石とともに先方をソファに座るよう促す。

『早速ですが、案件の詳細についてお伺い出来ますか?』

「はい…実は、」

飯野は少し顔をしかめて話し始める。

「先日、F町で発生したコンビニ強盗事件をご存知でしょうか。私の弁護人はその被疑者なんですが…」

「確か、犯人が店員を刃物で脅してもみ合った際に、その店員がナイフで怪我を負ったという事件ですよね。
金品は奪われずに済んだそうですが…」
『その後の防犯カメラ映像をもとに、状況証拠から犯人が捕まったとか』

「そうなんです。命に別条があるようなものではありませんでしたが、店員の怪我は全治2週間。強盗未遂と傷害罪にあたります。
確かに、被疑者が犯行を行った状況証拠は揃っていて、実際本人も自白をしていまして。」

「何か矛盾や問題点でも?」

白石は、弁護士をわざわざ変える理由はまだ一向にわからず、
安田が淹れてきてくれたコーヒーに口をつける。


「状況証拠、ということで、警察の主張はやや強引なところもあります。
被疑者である木本は、最初は否認をしていたため、私が弁護を担当したのですが…。
ただ、状況証拠は確かに揃っていて、それに彼自身アリバイもない。防犯カメラに映っていた犯人の服装も、彼が当日身につけていた服とほぼ同じでした。さらには、凶器に使われたナイフは、木本の自宅付近で見つかっている。正直、かなり不利な状況ではありますが、その他、彼の犯行に対して矛盾がないかの検証を進めて初公判に臨もうとしていたところ、彼が自白をしたんです」

飯野は、一気に話し喉が渇いたのか、コーヒーをグビッと飲み干す。

『自白ですか…』

「アリバイもない。自白も合わさると、検察の主張を覆すのは厳しく、起訴を覚悟して情状弁護を色々と検討していたのですが…」

そう話し、オーバーに眉間のしわを深くする飯野。



「どうやら、自白は強要されたものらしく…」

『強要?自白を、ですか?』

飯野の話を真剣に聞いていた葵の目が、鋭くなる。
同時に白石も、少し身を乗り出すような姿勢になった。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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