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松田刑事_2 ページ20

「警視庁での取り調べかぁ…
確かに、こういうところで、机叩かれながら取り調べされてたのが本当なら、
自白してしまうという話も分かる気がします…」

留置場を出た後に、木本の言動に違和感があると言っていた神山も、
警視庁の異様な空気に飲まれたのだろうか。
何とも、弱々しい言葉をこぼす。

『警視庁、初めてじゃないでしょ?』
「まぁ、そうですけど…結城さんほど慣れてないですから」
『慣れる、なんてこと、いつまで経ってもあり得ないわよ』

この、独特の空気に慣れることはない。
いや、慣れるなんてことがあってはいけない。
検事や警察と相反する立場である弁護士として、
葵という1人の人間として。
葵はそう、強い考えを持っていた。


伝えられた30分を5-6分ほど過ぎた頃、

ガチャっとドアが開き、

「悪りぃ、待たせたな。」

松田が入ってきた。
その後ろからは、一人の女性。

「捜査一課の佐藤です。
コンビニ強盗の件は、私も関わっているので同席しても?」

ショートカットで、いかにも仕事が出来そうなその女性刑事は、
葵の承諾を得た後、松田とともに、目の前の椅子に腰を下ろした。

「…で、木本の取り調べの話って、何が聞きてぇんだよ」

松田くん、ちょっとそういう態度…
という佐藤の言葉から、
松田の横柄な態度はいつものこと、という印象を受けた。


『取り調べの様子について、詳しくお伺い出来ないかと思いまして。』

「弁護士“先生”がわざわざ聞いてくるってことは、木本が取り調べで何かされたとか言ってきてるってことか?」

皮肉めいた口調で松田が答える。
佐藤も、口を挟むのをやめ、ため息を漏らしながら、葵の方へ言葉を向ける。

「取り調べに問題があったとお考えですか?」

『いえ。まだ、はっきりしたことは何も分かっていませんので、何とも言えない状況です。
木本の話を今日初めて聞いたばかりなので。

正直お伝えいたしますと、
彼は、不当な取り調べを受けたと主張を始めています。
もし、それが本当だとすれば、不当な刑罰が科されている可能性がありますので、こちらとしては、きちんと立証する必要があります。

木本だけでなく、
松田刑事、貴方からの話もきちんと伺って、何が本当なのかを見極めなければ、いけません。

ですので―――』

葵がそう続けると、松田はあからさまに表情を歪めた。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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