被疑者との面会_4 ページ18
「面会終了の時間です」
後ろに控えていた警官から声がかかる。
『木本さん、お話聞かせて頂きありがとうございました。
弁護をお引き受けするかを含めて、また改めて面会に伺います。』
木本にそう伝えると、葵は神山を連れて面会室を後にした。
『ありがとう。』
「え?」
緊張を身にまとったままの神山は、葵に急に礼を言われきょとんとした表情を浮かべる。
『口を挟まないでいてくれて。
それと、かなり細かくメモ取ってくれていたでしょう。
後で確認させてね。』
事前に伝えられていたことに対して、
神山がその通り口を挟まず会話を聞いて記録していたことに対する言葉だと理解し、
神山はようやく緊張を解き柔らかい表情に戻る。
「いえ…。なんというか、勉強に、なりました」
『何もしてないわ。今日は。』
「木本の言っていたことは、本当なんでしょうか。」
『…神山くんは、どう思った?』
問いかけに問いかけで応える葵。
「本当のことを話している、気はしました。
でも嘘のように感じる気がしたのも本当です。上手く言えませんが、
何か隠しているように、思えました」
会話を注意深く聞いていた神山は、
木本が嘘を言っているとは思えなかったが、しかし、少しの違和感があったのも事実だった。
どこか、と説明できる訳ではなかったが。
『そうね。私も同感。全てが本当じゃないかもしれない。でも、全てが嘘ではない。クズだと暴言を吐かれた、机を何度も叩かれた、と話していた木本は、思い出して怯えているような表情だったから。きっと、本当のことなんだと思う。
でも…』
会話をしている木本の表情と感情は不安定で明らかなムラがあった。
嘘も混じっているのかもしれない。
『とりあえず、取り調べを担当したっていう刑事の話も聞かないことには始まらないわね。
このまま警視庁に向かおうと思うけど、他に抱えている案件は大丈夫?』
神山の予定に問題がないことを確認すると、
葵は神山とそのまま、再び警視庁へ向かうことにした。
(確か、飯田は「松田」という刑事だと言っていたな。強盗関連なら捜査一課だろうか。
あ、午前中に高木さんに聞いておけば良かった…。
ん…?松田?)
と、葵は考えを巡らす。
そう言えば、昨夜の刑事も松田と呼ばれていた気がするが、
珍しくない名前なので別の刑事かもしれないし、とさほど気にすることもなく警視庁へ歩を進めた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時