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警視庁にて_2 ページ12

「…確か、結城先生は武道をやっていたんですよね。合気道、でしたっけ…」

『そうです。お話ししたこと、ありましたっけ?』

白石の言葉に、葵はどこかで話したことがあったかと思い返す。
あまり、自分の話をすることはないのだが。

「前に一度聞いたことが。
でも、そういう経験があるからといって過信するのは…。
神山に送って貰うのは悪くないと思いますが…。なんなら僕が送っていっても ―――」

『いえ、ご心配本当にありがとうございます。もし不安になったら、その時はご相談しますね』

白石の言葉を遮るように、葵は神山の方へも目線を向けて尚もやんわりお断りをすると、
「そうですか…」と答えるのみで、彼らはそれ以上は何も言わなかった。

断る、だけではなく、今後お願いするかもしれない、という言葉を付け加えると、
棘を含まずやんわりと断ることが出来ることを葵は知っている。

『それで、昨夜は遅い時間だったので、今日改めて警視庁に事情聴取に呼ばれていまして。
11時に約束しているんですが、
午後は飯野弁護士の案件の、例のコンビニ強盗の被疑者とも面会予定なんです。

それと…
先方次第ではありますが、取り調べの担当刑事の話も聞きたいと思っているので、夕方まで事務所を空けますが、宜しくお願いします。』

「ええ。了解。えっと、神山君と一緒に行くのよね?」

「はい!13時からでしたよね?」

提案を断られながらも、あーだこーだと言っていた神山は、スッと仕事モードの目つきになる。

白石は別案件も抱えているため、
今日の面会は、神山がアシスタントとして葵に同行予定だ。
昨日、飯野や早川との打ち合わせには同席出来なかったが、昨晩のうちに情報共有は済ませてある。

『お願いしていた件、調べてくれた?』
「あ、それなら¬――」

葵は、事件について情報を再確認しながら、
神山とは留置場近くで12時45分に合流する約束にし、
葵は事情聴取のため警視庁へ向かった。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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