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10年越しの再会_3 ページ50
墓の前で手を合わせてから,不思議と涙は止まっていた。
頭の中だけではない。
必然的に向き合っているからだろうか。隼人,と。
10年前の,事件と。
『でも,
また,ここに来ても良いですか?』
結子と同じく目尻を赤くして,
葵がしっかりとそうたずねると,
当たり前じゃない,
と,結子はふわりと優しく笑った。
良かったら家に寄っていかないか,という結子の誘いを断り,
葵は駅へ続く道へ歩を進めた。
その勇気は,葵にはまだ備わっていなかった。
幼い頃のように,若宮家の中に混じる勇気が。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時