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松田刑事_5 ページ23

「え?あ、俺たち二課なんですけど…」

どうやら捜査二課の刑事だったようだ。
まぁ、そう簡単に関係者が捕まえられるわけじゃないだろう。

『でも良かった。刑事さんだったんですね。ちょっと聞きたいことがあるんですが…』

唐突に声をかけられきょとんとする男性刑事2人に、
特に気にする様子もなく葵は話を続ける。

『私、茅野法律事務所の結城、と言います。
松田刑事について少し伺いたいのですが、ご存知ですか?』

「松田?あぁ、知ってるよ」

『差し支えなければ、で良いのですが…
昇進を焦ってるとか、大きな事件を抱えてるとか、そういう噂はありませんか?』

昇進?
大きな事件?
例の事件の取り調べについての情報収集じゃないのだろうか。
葵の言葉に、クエッションマークを複数頭の中に浮かべる神山。

「は…?何の話?っていうか、弁護士さんがなんでそんなこと聞くんだよ」

片方の刑事が答える。
神山同様に理解できない様子だ。

『ご存知、ないですか?』

なおも続ける葵に、

「いや…聞いたことねぇけど。
関わってる事件をいちいち知ってるわけじゃねぇから、そっちは分からねぇが、
昇進を焦ってるってのは、まずねぇんじゃねぇか」
「確かに、むしろ興味なさそうだよな」

と口を揃えて答える二課の刑事たち。

『興味なさそう、ですか…』

「上の言うこと聞かずに突っ走ってるイメージだよな。」
「昇進にこだわるなら、普通へつらうだろ」

ハハッと笑いながらの二人の答えに葵は納得したようで、
礼を言ってその場を去った。



「何だったんですか?今の」

神山は、理解できない様子で葵に問いかける。

『不当な取り調べ。
相手はコンビニ強盗の被疑者。
お金は盗まれておらず、店員も幸い軽症。』

エレベーターに乗り込みながら淡々と続ける葵。
クエッションマークを消せない神山は、とりあえず葵の話に真剣に耳を傾ける。

『犯罪には間違いないけど、
状況から、凶悪犯という訳ではないし、
他に共犯がいる可能性も低そうよね。
また、連続的な事件でもなく、余罪を追及する必要性もない』

「えっと…どういうことですか?」

チン、という小気味好い音とともに、足早にエレベーターを降りる葵の後ろを追いかけながら、
神山が問いかける。音とともに、神山の頭には、クエッションマークが増えたようだが。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時

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