32-21 素直に ページ21
■ DongHae ■
後方から飛んで来た大きな雄叫びを境に車内が一気に騒がしくなって、何が起きているんだろうかと後ろの様子を窺うﾘｮｳｸ。
側でｶﾝｲﾝ兄さんがｲﾄｩｸ兄さんに怒鳴ったから、さっきの声はｲﾄｩｸ兄さんのものだろう。
周りと一緒に騒ぐ気になれなかった俺は、ﾘｮｳｸに怒られて落ち込んでいた。
昨日ちゃんと話を聞いていたのか、話し合いした意味があったのかと怒られたんだ。
Aが優しくって気遣いやさんなのはﾄﾞﾝﾍ兄さんも見て知っているだろう。
昨日Aはﾄﾞﾝﾍ兄さんに謝ろうとしてたってﾋﾁｮﾙ兄さんが教えてくれただろう。
ｳﾆｮｸ兄さんもAはいつでも我慢してしまう人だって教えてくれただろう。
だからﾄﾞﾝﾍ兄さんが連絡を入れなくても、いずれAの方から連絡が入ると思う…って。
でもそれで良いのか。本当にAの方から謝らせても良いのか。後悔しないのかって…言われた。
ﾘｮｳｸは苛々しているようだった。それは俺に原因があって、色々言ってくれているのにいつまでも言い訳染みた返事しかしなかったからだ。
それでも俺は未だに真っ直ぐ前を見る事が出来なくて。
「何か分かんないけど、ｲﾄｩｸ兄さんがはしゃいでる。で？Aに連絡するの？しないの？」
ﾁﾗﾘと視線を向けた先のﾘｮｳｸは風邪薬の瓶の蓋を開け出した。
苛々したように瓶を揺らしているのに、錠剤が一つ、二つと、上手に一粒ずつ瓶の蓋の中に落ちて来る。
「ﾘｮｳｸは器用だな。俺もそんな風に一つずつ自分を見せて行きたかったのに…」
そう言ったらﾘｮｳｸはﾋﾟﾀﾘと動きを止めた。
「へぇー、兄さんの恋って昨日で終わったんだぁ。皆にﾗｲﾊﾞﾙが一人減ったよって教えてあげなくちゃね」
真顔で嫌味な事を言って来るもんだからさすがに泣きそうになる。
「終ってないし、終わらせたくない。でも…っ」
「それやめなよ。でもとか、だってとか言い訳する前に行動に移すべきなんじゃないの？」
何でバカなのに難しく考えるかなぁ。いつもみたいに素直に考えれば良いのに。
終わってないし、終わらせたくないっていうのが、兄さんの本心なんでしょ？それが兄さんの中にある答えなんでしょ？
ﾘｮｳｸが瓶を持った手の人差し指を出し、俺の左胸をﾂﾝﾂﾝと突く。
「きっかけなんかいる？僕はただ兄さんが伝えたい言葉を素直に綴れば良いだけだと思うけどな」
伝えたい言葉を……素直に？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さく - はじめまして。SJを好きになって日が浅いですが、この作品に出会ってから毎日夢中になって読ませてもらっています。モジョさんの作品が好きです。ハラハラしてドキドキして、心があったかくなって、読んでる時が幸せだな〜って感じます。私にとっての栄養剤みたいです。 (2018年6月12日 0時) (
レス) id: 79ba6e646e (このIDを非表示/違反報告)
舞桜(プロフ) - 何年か前にこの作品に出会って途中でリタイアしてしまいました。でもスジュが好きでこの作品の結末も気になってもう一度探し出しました。完結迄読みたいと思いました。 (2017年5月14日 16時) (レス) id: 4b160cd092 (このIDを非表示/違反報告)
じゅじゅ - 初めてまして！ﾓｼﾞｮさんのお話が凄く凄く好きです！続き 楽しみにしています！待ってます！！ (2016年3月2日 23時) (レス) id: dc004aa27f (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - おぉう！核心にジリジリ迫ってきております？あたしはこの中じゃシンドンタイプですな。こんなにあれこれ考えられないー！ (2015年2月6日 22時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
ﾓｼﾞｮ(プロフ) - かのかさん» かのかｵﾝﾆ☆ わーい！ｵﾝﾆがSJの魅力に気づいてくれたー！スパショは面白いだけじゃなく、笑いあり涙ありでハマること間違いなしです！是非一緒に行きましょー！あ、あの動画見ました？ﾓｼﾞｮも爆笑でした！ｼｳｫﾅが急上昇中！ (2014年12月28日 1時) (レス) id: dbc4381dc9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾓｼﾞｮ
| 作成日時：2014年5月30日 4時
