32-16 大事な事 ページ16
■ RyeoWook ■
ﾄﾞﾝﾍ兄さんは身体が怠いのか辛そうにしながら目を閉じてしまったけれど、指先だけが動いている。
手首にあるﾊﾞﾝｸﾞﾙをなぞる指はゆっくりとした動きなんだけど、僕にはそれがAを恋しがっているように見える。
「ﾄﾞﾝﾍ兄さん？」
「…ごめん。腕が怠くって…。でも体温計は外れてないから」
確かにさっき腕を押さえるように言ったけど、もしかして僕に叱られるとでも思ったんだろうか。
そんな事を言おうとしたんじゃないよと否定したところで体温計がピピピと鳴り、兄さんが腕をのそのそと動かした。
差し出して来た体温計を受け取ると、
「37.5℃…。微熱があるね。やっぱり風邪薬にしよっか」
「な…んだ。残念。微熱かぁ」
未だに目を開けず、残念の言葉とは裏腹にﾆｺﾘと口角を上げるから高熱だった方が嬉しいのかと尋ねてみれば、小さな頷きが返って来た。
理由を尋ねると、本当に風邪だったらAに連絡するきっかけが出来たのにな、と弱々しい声が返って来た。
「連絡…してないんだ」
「……だって。Aからも連絡ないもん」
若干の甘え口調に半ば呆れつつも、口をｷﾞｭｯと結ぶ兄さんの哀しそうな顔を見たら、バカなの？さっさとしなよ！と、いつもの調子では言えず…。
「僕にも連絡ないよ？それに僕からもまだ連絡してない」
「何で？出来るんだからすれば良いだろ…。お前が連絡したらAからも返事が来るよ。俺にはきっと来ないけど…」
拗ね口調でそう言って来る兄さんに今度は本気で呆れて、それから少し腹が立って風邪薬の瓶を投げつけてやりたくなった。
「怒るよ？昨日ｳﾆｮｸ兄さんが散々言ってくれたのに！Aはそんな人じゃないっ！」
一応周りに気を遣って声を落としながらも、僕が怒鳴るようにして言ったもんだからﾄﾞﾝﾍ兄さんは目に涙を浮かべた。
だって俺バカだし、頭痛いせいで今日もまた上手く働いてくれないんだもん。…って泣き言を言いながら。
「ﾘｮｳｸには返事するけど、ﾄﾞﾝﾍにはしなーいって言う人？！」
「いや、それは絶対ない」
「言い切るって事は分かってるんじゃないか。連絡が来ないのは、Aの方も兄さんにどう連絡しようかなって悩んでるからじゃない？」
「そんなの…分かんないじゃん」
えー…何なのその矛盾。
昨日の長時間に渡る話し合い。ほぼ無駄。
ていうか、ﾄﾞﾝﾍ兄さんさ…ダラダラしてる場合？
大事な事忘れてるでしょ。
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さく - はじめまして。SJを好きになって日が浅いですが、この作品に出会ってから毎日夢中になって読ませてもらっています。モジョさんの作品が好きです。ハラハラしてドキドキして、心があったかくなって、読んでる時が幸せだな〜って感じます。私にとっての栄養剤みたいです。 (2018年6月12日 0時) (
レス) id: 79ba6e646e (このIDを非表示/違反報告)
舞桜(プロフ) - 何年か前にこの作品に出会って途中でリタイアしてしまいました。でもスジュが好きでこの作品の結末も気になってもう一度探し出しました。完結迄読みたいと思いました。 (2017年5月14日 16時) (レス) id: 4b160cd092 (このIDを非表示/違反報告)
じゅじゅ - 初めてまして！ﾓｼﾞｮさんのお話が凄く凄く好きです！続き 楽しみにしています！待ってます！！ (2016年3月2日 23時) (レス) id: dc004aa27f (このIDを非表示/違反報告)
かのか(プロフ) - おぉう！核心にジリジリ迫ってきております？あたしはこの中じゃシンドンタイプですな。こんなにあれこれ考えられないー！ (2015年2月6日 22時) (レス) id: 171b30f749 (このIDを非表示/違反報告)
ﾓｼﾞｮ(プロフ) - かのかさん» かのかｵﾝﾆ☆ わーい！ｵﾝﾆがSJの魅力に気づいてくれたー！スパショは面白いだけじゃなく、笑いあり涙ありでハマること間違いなしです！是非一緒に行きましょー！あ、あの動画見ました？ﾓｼﾞｮも爆笑でした！ｼｳｫﾅが急上昇中！ (2014年12月28日 1時) (レス) id: dbc4381dc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾓｼﾞｮ
| 作成日時：2014年5月30日 4時
